当社は、1717年(享保2年)の創業以来、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、薬業一筋に邁進してきました。2021年度に、持続可能な社会の実現のためにサステナブル経営方針を新たに策定しました。
当社はこれまで、ISO26000に基づいて重点領域を定め、CSR活動に取り組んできました。2018年度には、当社が優先的に取り組むべきCSR活動テーマを明確にするため、 “CSRの重要課題”としてマテリアリティを再特定し、それをもとにCSRの実践に取り組んできました。
2021年度までに進めてきたマテリアリティ課題に対する計画と進捗は以下をご覧ください。
2021年度に新たに策定したサステナブル経営方針の下、財務と非財務の経営課題をより統合的に分析、管理する目的で、マテリアリティの位置づけを“CSRの重要課題”から“経営の重要課題”としました。特定したマテリアリティは中期経営計画の戦略と明確に連動させ、より推進力のあるマネジメント体制に発展させています。
また、社外のステークホルダーに当社のサステナビリティに対する取り組みを理解いただく上でも、財務と非財務を統合した情報開示と対話が可能になると考えています。
マテリアリティ分析のステップ
2021年度に実施したマテリアリティ分析では、候補となる経営課題を抽出するために、中期経営計画の策定と併せて経営環境分析を行いました。この中で、当社の価値を創造し、持続的に成長するための重要な機会とリスクを抽出しています。
外部/内部の経営環境分析には、取締役、執行役員、全部門のシニアマネジメント層が参加し、事業を取り巻く経営環境、当社の長期ビジョンと現状とのギャップ分析を実施しました。さらに各部門が日頃の活動の中で確認しているステークホルダー(医療関係者、研究機関、パートナー企業、求職者、NPO、投資家等)からの要望・期待を踏まえ、経営課題を抽出しました。
非財務課題については、成長戦略を実現するために必要な基盤として人的資本や知的資本等の無形資産に関する課題を抽出しました。また、ISO26000、GRIスタンダード、SASB基準、国連グローバル・コンパクト10原則、ESG評価機関、投資家との対話の結果などを踏まえ、課題を更新しています。なお、課題の分析に当たっては、検討の経過を取締役会において報告し、確認を得ながら進めました。
マテリアリティの特定にあたっては、まずStep1で抽出された課題を「価値創造」、「価値創造のための基盤」、「価値の保護(価値毀損リスク)」に分類しました。「価値創造」と「価値創造のための基盤」は、当社にとっての機会であり、「価値の保護」は当社にとってのリスクと認識しています。さらに経営会議などの場において、ステークホルダーにとっての重要性と事業にとっての重要性の視点から最重要課題である18個のマテリアリティ課題を特定しました。マテリアリティ課題は取締役会にて検討のうえ、最終決定しています。
マテリアリティの各課題を選定した理由と主な目標と進捗については「マテリアリティ課題への対応」をご覧ください。
2018年度に行ったマテリアリティ分析においては、分析のプロセスおよび特定したマテリアリティ課題、今後の取り組みについて、外部有識者とのダイアログを実施し、その妥当性について確認しました。
また、2021年度のマテリアリティの見直しにおいても、同外部有識者とのダイアログを実施し、妥当性と将来課題について確認しました。
2021年度に再特定したマテリアリティの各課題については、中期的な目標と計画を立て、進捗を確認していきます。
さらに、中期経営計画と連動し、課題毎に対応する本部、組織、委員会へ紐づけ、全社的なPDCAマネジメントサイクルを構築するとともに、取締役会および経営会議において管理していきます。
以下に、マテリアリティ課題を選定した理由、主要な目標と取り組みを示します。なお、目標に対する進捗については、2022年度の結果から年度ごとに開示していきます。
当社では、CSR活動を推進するために代表取締役社長を責任者とし、CSR担当役員である常務執行役員/コーポレートコミュニケーション統括部長を委員長とする「CSR委員会」を設置しています。幅広い部門の責任者を中心に構成されたCSR委員会では、CSR活動の重要課題・案件を審議・決定し、その活動状況は定期的に経営層へ報告されます。なお、経営層の検討・意思決定が必要な重要事項については経営会議にて、更に重要な案件については取締役会にて報告・検討されます。
当社は2017年11月、国連が提唱する人権・労働・環境および腐敗防止に関する 10 原則からなる国連グローバル・コンパクト(以下、UNGC)に参加しました。関連法規を遵守するとともに、日々の活動の中に「グローバル・コンパクト」の 10 原則を浸透させ、全社員の行動につなげています。
私たちは革新的な医薬品の創製を通じて、SDGs3、9、17の達成に貢献します。
目標3「すべての人に健康と福祉を」では、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、医療用医薬品に特化した研究開発型企業として、事業活動を通じて目標達成に取り組みます。SDGsターゲットで挙げられている「非感染性疾患の死亡率」については、がんや免疫疾患、中枢神経疾患などの重点研究領域を始めとする、いまだに医療ニーズが満たされない疾患に対する独創的で革新的な治療薬を創製することで貢献します。また、「感染症への対処」に対しては、ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチンおよびB型肝炎ワクチンの支援に加えて、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金への参画を通じた、マラリア、結核、顧みられない熱帯病などの市場性の低い治療薬や、ワクチン、診断薬などの新たな治療薬によって貢献します。
目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」では、イノベーションの促進および研究開発基盤構築が当社の貢献するべき点と考えています。新薬創製の研究開発を活発に行うために、当社内の研究開発に投資をするのはもちろんのこと、医師主導治験などにも助成を行っています。加えて、公益財団法人 小野医学研究財団やONO Pharma Foundationによる国内・海外研究者への研究助成を通じて、研究の振興を図り、イノベーションの土壌作りに貢献します。
また、当社にとってはイノベーションの促進と目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は切り離せるものではありません。「革新的な医薬品の提供」は当社単独のみならず、多くのパートナーシップによって達成していきます。当社は、「オープンイノベーション」という言葉が盛んに使われるようになるかなり以前から、さまざまな分野で世界の最先端技術や知見を活用した自社創薬を推進してきました。同時に、新薬候補化合物の導入および導出にも積極的に取り組んでいます。また、ベンチャー企業や他の製薬企業との提携活動に加え、大学、研究機関、行政、地域社会、NPOなど、多様なステークホルダーとパートナーシップを形成し、「オープンイノベーション」で課題の解決に取り組んでいます。なお、当社の主な提携先企業はこちらからご覧いただけます。
法令遵守や企業統治、透明性の確保はもちろんのこと、「グローバルスペシャリティファーマ」の実現に向けて当社が持続的に成長していくためには、すべてのステークホルダーの利害を尊重した事業活動や対話を通じて関係を構築し、それを継続的に強化していく必要があると考えています。
当社は、患者さんや医療従事者、株主および投資家の皆様、お取引先、地域社会、社員、関連する行政や業界団体など、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーション/建設的な対話を行うとともに、すべてのステークホルダーに対して、正確・公平・公正・迅速に、必要とされる情報を開示することを基本姿勢としています。
ステークホルダー | 関係構築/関係強化の機会 |
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患者さんや医療従事者 | 真に患者さんのためになる医薬品の創製 |
高品質な医薬品の安定供給 | |
医薬品の適正使用のための情報収集と情報提供 | |
株主および投資家の皆様 | 持続的成長による安定的な利益還元 |
理解促進のための情報提供と対話 | |
研究開発・ESGなどの情報提供 | |
お取引先 | 公正かつ透明性のある競争の機会の提供 |
CSR調達の推進 | |
地域社会 | 経済発展への貢献 |
環境保全活動、地域社会貢献活動 | |
社員 | 成長の機会の提供 |
安心して働ける環境の提供 | |
健康保持および健康増進の推進 | |
社内報や社内イントラネットによる情報発信 | |
行政・業界団体 | 情報提供と対話 |
経団連などの関係団体での活動と情報交換 | |
NPOs/NGOs | 医療アクセス改善に向けての各種プログラムを通じた連携 |
各種イニシアチブへの参加 |
今後とも、ステークホルダーの皆様からの期待を理解し、中長期的に成長しつづける企業であるべく、研究開発型医薬品企業として、さまざまな挑戦を続けていきます。
当社は2021年11月12日に大阪府と大阪府民の健康づくり等の推進に係る連携・協力に関する協定を締結しました。
行政の取り組みと民間企業のCSV※1活動とを協働させて、社会課題解決を図るために公民で連携しています。当社は「地域社会との対話」を事業活動における重要なテーマの1つとして取り組みを進めてきております。大阪府に本社を構える製薬企業として、大阪府と共に健康にまつわる社会課題解決に取り組むことで、行政と企業の互いの強みを活かし、今後も府民の健康増進に協力していきます。
詳細につきましては2021年11月12日のプレスリリースよりご覧ください。