世界的な経済成長や人口増加に伴う大量生産と大量消費が繰り返される現代社会において、処理しきれなくなった廃棄物による自然環境汚染と生態系への被害が問題になる一方で、限りある資源の枯渇が起こることも予想されています。地球環境を守りながら事業活動を持続していくために、当社では「資源循環社会の実現」を中長期環境ビジョンの重点項目の一つと設定し、環境委員会の下部組織である資源循環分科会が中心となり、全社での取り組みを進めています。
2022年度までの目標と進捗はこちらをご確認ください。
2021年度の産業廃棄物の最終埋立処分率は0.04%であり、ゼロエミッション※1を継続して達成しました。一方で、産業廃棄物排出量については、総量で前年度比23.6t減少したものの、生産数量原単位は2017年度比で20.3%増加でした。排出量が減少した主な要因は、フジヤマ工場の廃プラスチックの有価物化および高活性製剤の製造量の減少によるものです。生産数量原単位が増加した主な要因は、主力製品の規格変更(高容量品の追加)により分母の生産箱数が減少したことなどによります。生産数量原単位の目標については、設定時の社内状況や社会の環境変化を考慮し、再資源化率を指標とした目標に変更すべく検討を進めています。
産業廃棄物排出量及び特別管理産業廃棄物排出量(有害廃棄物排出量)
産業廃棄物排出量(品目別)
産業廃棄物最終埋立処分量及び最終埋立処分率
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2030年度 (目標) |
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産業廃棄物排出量に関わる原単位 | 0.197 | 0.128 | 0.174 | 0.223 | 0.237 | 0.167 |
「4R(refuse・reduce・reuse・recycle)の推進」と「環境負荷低減素材の選択」を基本方針として活動を推進しています。排出量削減に向けて廃棄物発生工程の調査や分析、減容化設備導入の検討や評価などを行うとともに、リユースやリサイクルなど資源を循環させるための活動の推進、また全社において、環境負荷が低い素材への切り替えを進めています。
具体的には、書類の電子化による紙資料の削減など、全社で廃棄物発生の抑制に努めるとともに、研究所と生産事業所では不要になった紙くず・金属くずなどを有価物として売却、研究所では買い替えや老朽化などで不要となった実験機器の売却などを行っています。さらに2021年度から使用後のプラスチックについても有価物としての取引を開始しました。また、研究所、生産事業所から発生する産業廃棄物(特別管理産業廃棄物含む)については、埋立処分せずにリサイクルを行っている最終処分先を中間処理後残差の処理委託先として選択しています。今後も様々な取り組みを推進し、資源循環社会の実現に向けて取り組んでいきます。
廃棄物関連担当者による会議を毎月実施し、4Rの推進に向けた施策および適正処理について議論し、実施に向けた検討や効果の検証などを行っています。
また、廃棄物の適正処理を実施するべく、優良事業者として認定を受けている委託業者との契約を優先して行うことを方針とし、中間処理委託業者の現地視察を毎年実施し、適正処理がなされていることを確認しています。なお、最終処分場については、3年に一度確認を行っています。引き続き、廃棄物の適正処理を徹底します。
工場や研究所毎に開催している委員会や実務担当および参加希望者を対象とした研修、社内報など、様々な方法で、身近な4Rの紹介や推進、廃棄物の適正処理や分別廃棄などに関する社内啓蒙活動を行っています。参加者が自身の業務で実践できるテーマを設定したり、関係法規にも触れたりすることで、社員の意識醸成をはかっています。
製剤開発においては、コンピュータによるシミュレーション技術を製剤開発に活用も実施しています。このステップを踏むことで、実験回数が減り、原材料(廃棄物)の削減につながっていくことが期待されます。
また、一部の製品においては、生産工程の一つの「湿式造粒」をバッチ方式から連続生産方式に変更することに取り組んでいます。連続生産方式には、需要量の変化への柔軟な対応、製造装置の小型化による省スペース化など様々なメリットがあり、製剤開発時に必要な原料の削減なども期待されます。なお、開発中の製品において、製剤開発時に必要な原料を重量として約13%削減できる見込みと試算しております。今後は、連続生産の適用範囲を拡大していくことで、さらなる原料削減やエネルギー削減を図っていきます。
製品毎に長期間の品質評価データを取得し、有効期間を延ばすことに取り組んでいます。製品の有効期間が延長することで、使用期限切れによる製品の廃棄リスクが低減されることが期待されます。
製品包装においても、環境負荷の低減を推進し、省資源化につながる材質変更や包装形態の変更、環境負荷低減素材の採用を行っています。また、廃棄の際に、リサイクルを促す材質表示や包装形態への切り替えも行っています。
プラスチック使用量削減につながる取り組みでは、2019年度より進めてきた注射剤の中仕切り素材をプラスチックから紙素材へ切り替えた製品が2020年度より流通開始しました。また、医療機関への製品包装に関するアンケートも参考に、新製品のPTPシートの結束方法を袋型(透明ピロー)ではなくバンドを採用することで、プラスチック使用量を低減削減しています。
さらに、個装箱に使用する紙素材をFSC®認証紙へ変更するとともに、使用インクを植物油インクの採用も進めています。環境負荷低減素材の選択をさらに推進するため、医薬品に直接触れる一次包装についても、品質の検証を実施しています。
主な内容 | 取り組み |
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プラスチックから紙素材への切り替え | 一部製品の包装資材変更。2020年度より流通開始 |
PTPシートの結束方法の見直し変更(バンドの採用) | 2021年度に1品目が流通開始(2022年3月末時点で合計8品目) |
個装箱のFSC®認証紙への切り替え | 2021年度に7品目が流通開始(2022年3月末時点で合計15品目) |
植物油インクの採用 | 2021年度に2品目が流通開始(2022年3月末時点で合計6品目) |
また、日本では、容器包装廃棄物についてリサイクルを促進するために、製品の販売者が販売した製品の容器包装廃棄物のリサイクル量を負担する「容器包装リサイクル法」が施行されています。「容器包装リサイクル法」に基づき、当社が販売した製品の容器包装材の一部は再資源化されています。
容器包装使用量 | 再商品化義務量 | |
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プラスチック | 147.0 | 36.6 |
紙 | 175.6 | 1.3 |
ガラス(無色) | 0.0 | 0.0 |
ガラス(茶色) | 0.2 | 0.0 |
再商品化委託料金:1,958千円 |
2020年1月より、紙製のファイルの運用を開始しています。プラスチック製ファイルの一部を紙製のファイルに切り替えることで、プラスチック使用量の削減につなげています。
当社はペーパレス化を進めており、コピー用紙の使用量が減少しています。2017年10月にグローバルでクラウドストレージ”box”を導入したことにより、ペーパレス化の促進とともに、ファイルの保存・共有に費やす労力の削減、セキュリティの強化につながっています。また、購買については、購買システムに掲載される製品が、グリーン購入法に適合した製品かどうかを分かりやすく表示し、1人1人が環境への意識をもつよう、社内で啓発を進めています。