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Environment 環境 :

生物多様性保全

リード文

当社は、地球環境に恩恵を受け事業活動を行っていることを認識し、持続可能で豊かな社会の実現のために、生物多様性に影響を与える環境リスクの低減に努めるとともに、生物多様性の維持・保全に貢献します。また、日本経済団体連合会の「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」に賛同し、経団連自然保護基金に寄付を行っています。

「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」ならびに賛同企業・団体につきましては「こちら」をご覧ください。

小野薬品工業株式会社 経営企画部 兼 CSR推進室, 小野薬品工業株式会社 CSR推進室, system

生物多様性に対する考え方

当社は、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、人々の健康に貢献するとともに、次世代への豊かな地球環境の保持に努めます。豊かな地球環境(生態系)は、食料や水など私たちの生活に恵みをもたらすだけでなく、気候変動や災害の緩和、感染性病原体や寄生虫などの発生抑制、ならびに精神的・文化的な安定にも寄与しており、私たちの健康に極めて重要な役割を果たしています。

当社は、事業活動による地球環境への影響を評価し、影響を最小限に留めるため、様々な取り組み(医薬品の環境影響評価、化学物質管理、遺伝子組換え生物および病原体等の管理、大気・水質・土壌の汚染防止など)を推進します。また、国立公園や保護区などの地域や国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストの「深刻な危機」および「危機」カテゴリーに分類された生物が生息する地域での操業は行いません。

2022年12月にカナダ・モントリオールで開かれた生物多様性条約第15回会議(COP15)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」を支持するとともに、地方自治体やNPO・NGOなどのステークホルダーと協働し、生物多様性の損失を食い止め、プラスに転じさせられるよう(ネイチャーポジティブ)に貢献したいと考えています。また、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が公開する最新の開示枠組みを参考にし、サプライチェーンを含めた自然への依存、影響およびリスクの同定と、科学的根拠に基づいた目標と指標の設定について検討を始めています。

行動指針

  • 当社の事業活動が生物多様性に与える影響を認識し、生物多様性保全に配慮した活動を行います。
  • 生物多様性の保全、生物多様性の構成要素の持続可能な利用、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を目的とする生物多様性に関する条約(CBD)の3原則ならびに日本の生物多様性国家戦略を支持します。また、生物多様性の保全に関する各国・各地域の法令やルールを遵守します。
  • 国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストの「深刻な危機」および「危機」カテゴリーに分類された生物が生息する地域での操業は行いません。また、緩和ヒエラルキー(回避、最小化、回復、代償)を適応することで事業における影響を最小化し、生物多様性ノーネットロスを目指します。
  • 化学物質、遺伝子組換え生物、ならびに病原体等の使用にあたっては、関連法規制を遵守し、適正な利用および管理を行います。
  • 社内外のステークホルダーとコミュニケーションを促進し、生物多様性保全の推進に努めます。
  • 社内意識を向上させ、全社員参加のもと生物多様性保全活動を推進します。
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取り組み

医薬品原薬の取り扱いと環境影響評価

医薬品の製造過程、ならびに医薬品の適正使用による排泄や医薬品の廃棄を介して環境中に排出された医薬品有効成分(人に投与された場合はその代謝物も含む)は、それらの生理作用、物理化学的および生物学的な性状に起因して、生態系に影響を及ぼす可能性があります。当社の生産事業所では、医薬品原薬の科学的な特性を考慮して失活処理(酸化分解、還元、アルカリ加水分解など)を実施しています。また、動物実験やヒト臨床試験結果から職業暴露限界(OEL)を推定し、カテゴリー4(OELが10μg/立方メートルより低い化学物質)以上の医薬品有効成分を「高活性医薬品原薬」と定義し、これらを含む廃水は全て回収し業者に焼却処理を委託しており、環境への放流は行っていません。


医薬品原薬の環境影響評価は各国のガイドラインに基づき適切に対応しています。当社では医薬品承認申請を目指す新規の化学物質および上市済みの医薬品原薬については、コンピューターシミュレーションによる定量的構造活性相関(QSAR)により環境有害性を予測し、安全性データシート(SDS)に結果を記載しています。また、上市済みの医薬品原薬は、順次、生態影響試験を実施し、SDSにて結果を公開します。

化学物質管理

化学物質の使用量削減に努めます。また、化学物質の排出については、法令遵守はもとより、人の健康や生態系に影響を与えることを認識し、排出抑制に取り組んでいます。

環境への化学物質の排出抑制

当社では人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす恐れのある化学物質について、化学物質排出把握管理促進法のPRTR制度に基づき適正な管理を行っています。2022年度、国に報告したPRTR法第一種指定化学物質の取扱量(年間取扱量が1トン以上の物質)は、8.7トンとなり、前年度と比べ25%削減しました。また、2022年度の大気および公共水域/土壌への排出量は、それぞれ0.28トン(前年度比11%削減)およびゼロ(前年度と同様に排出量なし)となり、引き続き低い水準を維持しています。詳細はESGデータ集をご参照ください。
報告品目以外の化学物質についても、関連法規制を遵守し、適正に化学物質管理を行っています。引き続き適正な化学物質管理により、環境中への排出抑制に取り組んでいきます。

目標に対する結果
目標 2022年度の結果
PRTR法第一種指定化学物質の環境への排出量抑制 届出化学物質の大気中への排出量は0.28トン(前年度比11%削減)および公共水域/土壌への排出量はゼロ(前年度と同様に排出量なし)となり、低い水準を維持
ポリ塩化ビフェニル(PCB)含有廃棄物の取り扱い

PCB含有廃棄物については、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」を遵守し、適正に処分を行っています。2022年度現在、保管している高濃度および低濃度PCB廃棄物は無く、低濃度PCBを含有する2台の変圧器(使用中)のみ保有しています。使用中の2台の変圧器についても、上記法律に定められた2027年3月31日までの処理期限内に、低濃度PCB廃棄物の処分許可を有している処理業者に委託し、適正に処分する予定です。

PCB廃棄物 種類 分類 台数
高濃度PCB廃棄物
(PCB濃度:0.5%超)
コンデンサなど 使用中 0
保管 0
低濃度PCB廃棄物
(PCB濃度:0.5%以下)
変圧器など 使用中 2
保管 0
放射性同位元素等の管理

放射性同位元素等の管理については、「放射性同位元素等の規制に関する法律」に基づき適正に行っており、その結果を放射線管理状況報告書として原子力規制委員会に毎年度報告しています。

遺伝子組換え生物・病原体等

創薬研究および生産活動において使用する遺伝子組換え生物および病原体等については、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」および「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」などの関連法令に基づいて定められた社内規程を遵守することによって、環境中への拡散や漏洩を未然に防止しています。また、これらの研究試料の適切な利用を推進するため、社内安全委員会が実験従事者の教育訓練や実験申請の審査を継続して実施しています。

大気・水質・土壌の汚染防止

生産事業所および研究所では、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、下水道法、土壌汚染対策法、化学物質排出把握管理促進法など関連法規を遵守し、さらに各自治体と公害防止協定を結び、環境への影響を低減させています。
大気汚染の指標として窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)および煤塵を測定しています。2022年度のNOx排出量は、高効率ボイラーの導入および都市ガス使用設備の運転条件見直しなどの施策により4.9トンとなり、前年度比で40%の削減となりました。当社は硫黄分濃度が高い燃料(重油や石炭など)を使用する設備がないことから、SOx排出量は非常に低い水準を維持しています。また、2022年度の煤塵排出量は0.26トンとなり、前年度比で12%の削減となりました。詳細はESGデータ集をご参照ください。


水質汚濁を防止するため、生産事業所および研究所の排水は、関連する法規制の基準に加えて自治体との協定あるいは当社独自の上乗せ基準を設けて管理しています。フジヤマ工場および山口工場では公共下水道が整備されておらず、両施設における事業活動で生じた廃水は、敷地内の処理施設で沈殿処理、活性汚泥処理、pH調製後、消毒処理などを行い、水質を確認した上で河川に放流しています。2022年度の公共河川に放流した排水のBOD(排水の水質を示す指標)は、0.15トンと低い水準となっています。また、フジヤマ工場から河川に放流する排水については、全排水毒性試験(WET試験、ミジンコ、藻類、魚類の生物応答を利用した毒性試験)を実施し、当社の工場排水による環境への負荷を総合的に評価しています。なお、2025年度までに生産事業所および研究所の全拠点でWET試験を実施します。

BOD(生物化学的酸素要求量)の推移
放流別 対象範囲 単位 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
BOD 全体 生産事業所、
研究所
トン 2.2 1.3 1.2 1.3 1.2
公共下水道 2.0 1.1 1.0 1.1 1.0
公共河川 0.21 0.20 0.21 0.22 0.15

土壌汚染の防止については、有害物質の管理を徹底するとともに、危険物や有害物質を含む試薬について、保管棚内の試薬瓶の転倒防止対策を実施しています。また、排水管の定期的な漏洩点検や地震に強いフレキシブル配管への置き換えを進めています。万が一、土壌汚染を確認した場合は行政と協議を行い、拡散防止、浄化対策などの適切な処置を実施します。

近年、地球温暖化による異常気象が頻繁に起きているため、それらに起因する事故や緊急事態を想定し、各種マニュアルを策定するとともに、訓練を通して環境への影響を最小限に留めるよう努めています。また、水質汚濁や土壌汚染につながる事故・緊急事態に備え、毎年訓練を実施しています。万が一、有害物質を含んだ廃水が排水系統に流れてしまった場合に備え、廃水を貯留するための貯留槽を設置するとともに、特に高活性医薬品原薬を含む廃水については専用の回収タンクを設け、排水系統からの切り離しを行っています。

自然保護活動

ふしの川水系クリーンキャンペーン

山口工場は椹野川水系の水(市水)を原料として注射剤等の医薬品を製造しています。2023年7月に開催されたふしの川水系クリーンキャンペーン(山口市、椹野川漁業協同組合および山口市快適環境づくり推進協議会の共同主催)には、山口工場勤務の社員が参加し、椹野川の清掃を行いました。

ふしの川水系クリーンキャンペーン
離宮の水保存会

水無瀬研究所では、全国名水百選に選ばれている名水を守るため「離宮の水」保存会に加入しています。2022年度は、2回の一斉清掃に参加しました。

 


2022年度、上記の活動とは別に、地方自治体やNPO法人と話し合いの場を設け、自然保護に関して当社ができることについて意見交換しました。

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