当社の事業活動、特に研究・生産活動を行うには良質な水が不可欠です。また、当社の事業が地球環境へ負の影響を及ぼすリスクを適切に管理することは重要であり、持続可能な水循環社会の実現に取り組んでいます。
水に関するリスクについては、環境委員会およびその下に設置している水分科会が中心となり調査を行い、事業に影響を及ぼすと考えられるリスクを把握し、分析、評価を行っています。
また、2022年度には、水関連リスクは事業所ごとの流域によって課題が異なることを考慮してリスクを再整理し、リスクベースアプローチへの転換を図りました。評価は、CEO Water Mandateより発行されたガイドライン「Setting Site Water Targets Informed By Catchment Context: A Guide For Companies」を参考にし、リスクに対応する新たな中長期目標へと更新しました。
水ストレス | 事業所 |
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低~中リスク | 山口工場、城東製品開発センター、水無瀬研究所 |
中~高リスク | フジヤマ工場、筑波研究所 |
高い または 非常に高いリスク | 該当なし |
台風等による洪水リスクの評価と対応状況については、TCFD提言に基づく情報開示をご覧ください。また、自然災害等発生時のBCP(事業継続計画)についてはこちらをご覧ください。
水に関するリスクと機会、取水量・排水量等に関する詳細はCDP水セキュリティで回答していますので、CDPのホームページからご確認いただけます(CDPのIDが必要です)。
水循環社会の実現に向けて、2019年度より推進してきた中長期目標を、2022年度にリスク評価結果を踏まえた新たな中長期目標へと更新しました。
水不足リスク |
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水質汚染リスク |
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サプライチェーンリスク |
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2022年度の取水量は196.4千㎥で、2021年度に比べ23.0千㎥を削減(削減率:10.5%)できました。また、基準年である2017年度に比べ128.7千㎥の削減(削減率:39.6%)となりました。
水使用量削減のための具体的な取り組みとしては、超音波式流量計設置による水使用量の見える化、生産事業所での密閉性の高い扉の導入による防虫用流水トラップの停止、熱排水タンクの設定温度調整による冷却水の削減、製薬用水のタンク滅菌作業の最適化、研究所でのボイラー更新、空冷チラー・全熱交換器への水噴霧停止や水噴霧作動設定温度の変更、高温排水熱回収による冷却水の削減、定期的な漏水点検などの実施が挙げられます。また、事業所の増改築時や設備更新時には、節水型衛生器具を採用しています。
取水量(水資源使用量)
排水量
施設名 | 流域河川 | 排水先*1 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||||||
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取水量 | 排水量 | 取水量 | 排水量 | 取水量 | 排水量 | 取水量 | 排水量 | 取水量 | 排水量 | 取水量 | 排水量 | |||
フジヤマ工場*2 | 富士川 | 河川 | 205.6 | 148.6 | 240.2 | 178.4 | 185.0 | 145.1 | 157.8 | 125.0 | 138.7 | 110.2 | 122.9 | 100.1 |
山口工場 | 椹野川 | 河川 | - | - | 8.2 | 8.2 | 18.1 | 18.1 | 18.6 | 17.7 | 21.6 | 20.0 | 22.8 | 20.9 |
城東製品開発センター | 淀川 | 下水道 | 5.5 | 5.5 | 6.0 | 6.0 | 5.1 | 5.1 | 4.6 | 4.6 | 3.9 | 3.9 | 3.4 | 3.4 |
水無瀬研究所 | 淀川 | 下水道 | 51.3 | 51.3 | 41.2 | 41.2 | 39.1 | 39.1 | 33.7 | 33.7 | 31.5 | 31.5 | 32.2 | 32.2 |
福井研究所*3 | 九頭竜川 | 下水道 | 38.7 | 5.2 | 31.3 | 5.0 | 27.3 | 5.7 | 13.7 | 2.6 | 6.6 | 1.9 | 0.8 | 0.2 |
筑波研究所 | 霞ヶ浦 | 下水道 | 8.1 | 8.1 | 6.0 | 6.0 | 7.1 | 7.1 | 7.2 | 7.2 | 7.0 | 7.0 | 4.7 | 4.7 |
本社およびその他の国内事業所(一部テナント含む) | 主要事業所の流域河川*4 | 下水道 | 15.9 | 15.9 | 15.1 | 15.1 | 15.0 | 15.0 | 10.0 | 10.0 | 10.0 | 10.0 | 9.5 | 9.5 |
合計 | 325.1 | 234.6 | 348.0 | 259.9 | 296.7 | 235.2 | 245.6 | 200.8 | 219.4 | 184.5 | 196.4 | 171.2 |
国際化学物質会議(ICCM)の第4回会議で、環境中の医薬品は「Emerging Issue」に挙げられ、欧州の製薬業界団体であるefpiaはEco-Pharmaco Stewardshipプログラムを公表するなど対応を進めています。
当社では水汚染リスクへの取り組みの一環として、生産の主力であるフジヤマ工場に排水の総排水毒性試験(WET試験)を取り入れました。
また、開発中の医薬品有効成分(API)について、構造活性相関(QSAR)を用いて水生生物への影響を評価し、安全データシート(SDS)への情報掲載を進めています。
項目 | 対象範囲 | 単位 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
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法的義務/規制違反の件数 | 全事業所 | 件数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
上記に関連する罰金額/罰金額 | 全事業所 | 百万円 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
年度末に発生した環境負債 | 全事業所 | 百万円 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
当社は、英国CDPが実施している水セキュリティの調査において、2018年度の「B」から2019年度および2020年度は「Aマイナス」、2021年度及び2022年度は最高評価である「A」へと評価が向上しています。