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Environment 環境 :

脱炭素社会の実現

リード文

当社が事業活動を行う上で、脱炭素社会の実現は重要な項目の一つと捉え、全社で様々な取り組みを進めています。

小野薬品工業株式会社 経営企画部 兼 CSR推進室, 小野薬品工業株式会社 CSR推進室, system

進捗

2022年度までの目標と進捗はこちらをご確認ください。

中長期環境ビジョンにもとづく温室効果ガス排出量削減目標に対する2021年度の進捗結果は、スコープ1+2(マーケットベース※1)で2017年度比16.8%以上削減の目標に対し、20.9%削減(2017年度;29.8千t-CO2、2021年度:23.6千t-CO2)となり、スコープ3で2017年度比6.9%以上削減の目標に対し、33.7 %削減(2017年度;75.1千t-CO2、2020年度:49.8千t-CO2)となりました。なお、スコープ3排出量の一部(カテゴリー1および9)については、算定時点で当社の主要取引先・医薬品卸データが公表されていないため前年度の排出量で算定しています。スコープ1+2温室効果ガス排出量にはボランタリークレジットによるCO2オフセット量(カーボンニュートラル都市ガス購入分)は含まれていません。ボランタリークレジットによるCO2オフセット量(カーボンニュートラル都市ガス購入分)を含めるとスコープ1+2温室効果ガス排出量は2017年度比22.9%削減(2021年度:23.0千t-CO2)となります。
再生可能なエネルギーの利用については、RE100※2(2020年6月加盟)に沿い、2021年度目標(全消費電力に占める再生可能エネルギー利用率を16.8%以上)を達成し、17.0%となりました。

  • マーケットベース:各電力事業社が公表している排出係数を基に算定した温室効果ガス排出量
  • RE100:事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す国際イニシアチブ

温室効果ガス排出量(Scope1+2)

グラフ
  • * 温室効果ガス排出量のデータ集計サイト:フジヤマ工場/山口工場(2018年度より追加)/城東製品開発センター/水無瀬研究所/福井研究所/筑波研究所/本社/各支社・営業所等
    温室効果ガス排出量は、下記の計算方法を用いて算定しています。
    温室効果ガス排出量=購入電力量×電力会社公表の調整後排出係数+Σ(燃料使用量×単位発熱量×炭素排出係数×44/12)+Σ(フロン類漏洩量×地球温暖化係数)
    グリーン電力証書のグリーン電力相当量、J-クレジット制度の認証再生可能エネルギー相当量、及び非化石証書割当量を控除しています。

温室効果ガス排出量 スコープ別内訳
(マ―ケットベース)

グラフ
  • * スコープ1+2温室効果ガス排出量にはボランタリークレジットによるCO2オフセット量(カーボンニュートラル都市ガス購入分)は含まれていません。ボランタリークレジットによるCO2オフセット量(カーボンニュートラル都市ガス購入分)を含めるとスコープ1+2温室効果ガス排出量は23.0千t-CO2となります。

スコープ1のGHG種類別内訳

グラフ

エネルギー使用量

グラフ
  • * エネルギー使用量のデータ集計サイト:フジヤマ工場/山口工場(2018年度より追加)/城東製品開発センター/水無瀬研究所/福井研究所/筑波研究所/本社/各支社・営業所等

電力消費量と再生可能エネルギー利用率

グラフ
小野薬品工業株式会社 経営企画部 兼 CSR推進室, 小野薬品工業株式会社 CSR推進室, system

取り組み

温室効果ガス排出量削減ロードマップの策定TCFDリスク

  • 「令和元年度SBT達成に向けたCO2削減計画策定支援モデル事業」(環境省主催)への参加
    当社は中長期的な温室効果ガス削減目標を達成するため、「令和元年度SBT達成に向けたCO2削減計画策定支援モデル事業」(環境省主催)に参加し、専門家の調査・助言に基づき、将来の新技術などを取り入れた実現性の高い温室効果ガス排出量削減ロードマップを策定しました。
  • 温室効果ガス排出量削減方針の議論
    2020年度に、昨今のエネルギー市場動向、コスト、排出係数変動予測などをふまえ、温室効果ガス排出量削減方針を改めました。IEMAの温室効果ガス(GHG)管理ヒエラルキーを参考に、「クレジット活用」に対して「カーボンニュートラルエネルギーの調達」の優先度を高め、施策の優先順位を「省エネルギー活動の推進」「再生可能エネルギー設備の導入」「カーボンニュートラルエネルギーの調達」「クレジット活用」としました。
  • IEMAのGHG管理ヒエラルキ-の出典:Institute of Environmental Management and Assessment (IEMA) Greenhouse Gas Management Hierarchy, first published in 2009 (updated 2020), www.iema.net

当社の温室効果ガス排出量削減施策の優先度
(出典:ENECHANGE株式会社資料を参考に当社作成)

削減省エネルギー活動の推進

グリーンサステナブルケミストリーへの取り組みTCFD機会

研究開発段階から、より環境に配慮した医薬品原薬の製造工程開発に取り組むために、グリーンサステナブルケミストリー(「Green Sustainable Chemistry」以下、GSC)の考えを取り入れています。GSCは原料の選択から製造、廃棄までの全工程において、環境への負荷をできる限り低減しようとするコンセプトであり、製薬業界においても2000年代中頃より徐々にその考えが広まり始めています。当社におきましてもGSCの考えを取り入れるため、2018年より事業所内で専門の作業部会を発足し、原薬製造効率の評価指標としてPMI(Process Mass Intensity)※3を活用しながら、研究開発段階から廃棄物量の最小化や環境負荷低減を意識した医薬品原薬の製造工程開発に取り組んでいます。なお、本取り組みは、TCFD分析により気候変動に関する機会の一つとしても位置付けています。

  • PMIは、原薬製造に要した原料・資材の総重量を製造した原薬の重量で除して算出。
連続生産方式※4導入への取り組みTCFD機会

当社では、生産工程の一つの「湿式造粒」をバッチ方式から連続方式に変更することに取り組んでいます。これにより、開発に必要な原料を重量として約13%削減※5できる見込みです。今後はさらに連続生産の適用範囲を拡大していくことで、さらなるエネルギー削減や原料削減を図っていきます。なお、本取り組みは、TCFD分析により気候変動に関する機会の一つとしても位置付けています。

  • 「連続生産方式」とは、原料を連続的に製造工程に投入し、出来上がった製品を連続的に取り出す生産方法であり、コンパクトな装置を 連結して自動化しているため、医薬品製造で主流の「バッチ生産」に比べて省エネルギー化・生産と資源の効率化が見込まれます。
  • 生産工程の一つである「湿式造粒」を連続方式にすることによる原料削減効果を一般的なバッチ方式の装置と比較した数値です。
電気需要平準化
  • 夜間の蓄熱システムならびにコージェネレーションシステムを利用した日中使用電力のピークシフトならびにピークカットを実施
  • 大容量蓄電システム(NAS電池システム)を利用した瞬時電圧低下時の生産ラインの保護ならびに日中使用電力のピークシフトを実施
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大容量蓄電システム(山口工場)
デマンドレスポンスへの参加

2020年度~、デマンドレスポンスに参加しています。デマンドレスポンスは、電力需給逼迫時に電力会社からの要請(デマンド)に応じて需要家が節電(レスポンス)した際に、節電した分のインセンティブ(報奨金)が付与されます。

フロン管理

「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(略称「フロン排出抑制法」)にもとづき、対象設備の把握、簡易点検・定期点検、記録の作成、漏洩量の算定・報告などを実施しています。2021年度のフロン類算定漏洩量は0.03t-CO2で低い水準で推移しています。今後も漏洩防止に努めるとともに機器更新時にノンフロンや低地球温暖化係数冷媒を使用した機器の導入を進めます。

省エネルギー設備の導入
  • 照明を蛍光灯からLEDに更新
  • 熱源設備をモジュールタイプヒートポンプチラーへ更新
  • 待機電力が極めて低い超高効率型アモルファス変圧器の導入
  • 低風量型(プッシュ・プル型)超高速VAV(可変風量)式局所排気装置の導入
  • 高清浄度エリアを限定できる無菌アイソレータシステムの導入
運用改善
  • 高温排水から熱回収を行い温熱源として使用
  • 設備運転時間や設定温度などの見直し
クールビズ・ウォームビズの実施
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モジュールタイプヒートポンプチラー(水無瀬研究所)
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低風量型(プッシュ・プル型)超高速VAV(可変風量)式局所排気装置(操作パネル上で排気ファン出力の見える化)(水無瀬研究所)
環境配慮オフィス設計
  • 米国の新オフィス計画に際しては、LEED※6のGold認証を取得しているビルを選定しました。国内では、東京自社ビルがCASBEE®※7のSクラスを取得しています。今後も環境に配慮したオフィス設計を進めていきます。
  • LEED(リード):米国グリーンビルディング協会(USGBC:US Green Building Council)が開発および運用を行っている建物と敷地利用についての環境性能評価システム。省エネと環境に配慮した建物・敷地利用を先導するシステムで、Leadership in Energy and Environmental Designと名付けられた。頭文字をとり、LEEDという名称で呼ばれている。
  • CASBEE(キャスビー)(建築環境総合性能評価システム):建築物の環境性能で評価し格付けする手法。省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステム。Sクラスは、5段階の内、最高レベルの評価である。
燃料転換
  • 工場・研究所において、重油・灯油から都市ガス・天然ガスへの燃料転換を完了
    (燃料を燃焼してエネルギーを得る際に排出される温室効果ガス排出量は、重油・灯油よりも都市ガス・天然ガスの方が少ない)

代替再生可能エネルギー設備の導入

  • 太陽光発電設備の導入・運用:本社ビル(2003年度)、水無瀬研究所(2015年度)、東京ビル(2017年度)
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太陽光発電パネル(水無瀬研究所)
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太陽光発電量集計システム(水無瀬研究所)

代替カーボンニュートラルエネルギーの調達

  • 再エネ電力メニュー契約による買電:
    水無瀬研究所(2019年度~)、山口工場への拡大(2022年度~)
  • カーボンニュートラル都市ガスの導入:筑波研究所(2021年度~)、城東製品開発センター(2021年度~)
    カーボンニュートラル都市ガスは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、CO2クレジットで相殺(カーボン・オフセット)し、燃焼しても地球規模ではCO2が発生しないとみなす液化天然ガス(カーボンニュートラルLNG)を原料とする都市ガスです。クレジットは、国際的にも信頼性の高い機関から発行され、地域や生態系に重大な悪影響を及ぼさない(森林プロジェクトの場合プロジェクトにより伐採や森林破壊が回避される)などの導入先の調達要件・品質基準等が満たされたプロジェクトで構成されています。

(出典:東光電気工事株式会社資料を参考に当社作成)

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カーボンニュートラル都市ガス供給証明書

相殺クレジット活用

  • グリーン電力証書(2018年度~)、J-クレジット(2019年度~)および非化石証書(2021年度~)の購入
    再生可能エネルギーで発電された電力の電力証書やJ-クレジットを購入することにより、再生可能エネルギー活用を推進しています。
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グリーン電力証書

カーボンプライシング

環境関連の投資判断においては、カーボンプライシング※8を導入し、脱炭素投資の優先順位の引き上げに活用しています。

  • カーボンプライシング:活動を脱炭素化の方向へ促進するために、設備から排出される温室効果ガス排出量に価格付けをし、経営の意思決定に反映すること

気候変動関連の取り組みに対する外部評価TCFD機会

  • 英国CDPが実施している気候変動の調査において、最高評価である「Aリスト」に4年連続選出(2018~2021年度)
  • 令和元年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰(環境省)の「対策活動実践・普及部門」を受賞
  • 水無瀬研究所が令和2年度おおさかストップ温暖化賞の大阪府知事賞を受賞
  • 大阪府下の事業所が令和3年度おおさか気候変動対策賞を受賞
  • 『エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)』において省エネの取り組みが進んでいる優良事業者として7年連続最高ランクである S ランクの評価取得(2015~2021年度)
  • 省エネ事例集(近畿経済産業局)に多様な視点から省エネルギー成果を上げている特定事業者として紹介

再生可能エネルギー導入拡大に向けた対外活動TCFD機会

当社は、患者さんや医療従事者、株主および投資家の皆様、お取引先、地域社会、社員、関連する行政や業界団体など、あらゆるステークホルダーとのコュニケーション/建設的な対話を行うことを基本姿勢としています。特に、温室効果ガス排出量の削減を加速するためには、他企業と連携して再生可能エネルギー導入拡大を行政へ働きかけることが重要です。2021年3月、RE100がJCLPの協力の下、日本政府に向けて送付した再生可能エネルギー導入拡大を求める書簡に、当社も国内外の企業52社とともに賛同しました(日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP*)2021年3月ニュース)。このような企業間連携により、再生可能エネルギーコストが下がり、再生可能エネルギーの入手方法の拡大につなげることができれば、企業が再生可能エネルギーを利用しやすくなり、社会全体の温室効果ガス排出量の削減の促進にも寄与できると考えています。

  • JCLPはRE100の公式地域パートナーとして、日本企業の参加と活動を支援。
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バリューチェーンにおける温室効果ガス排出量(スコープ3)TCFDリスク

当社のバリューチェーンにおける温室効果ガス排出量(スコープ3)を環境省のガイドラインに従い15のカテゴリーに分け、2014年度分から国内事業所を対象に算定しています。サプライチェーンにおける取引先企業様と共に、自然環境や人権・労働環境などのCSRに関するマネジメント体制や取り組みの強化進めています(詳細はこちら)。

カテゴリー 2020年度排出量
(千t-CO2
2021年度排出量
(千t-CO2
算定方法 備考
カテゴリ1 購入した製品・サービス 12.7 - 当社の原料、材料の主要取引先(全原料、材料の購入金額の80%以上をカバー)のCO2排出量(スコープ1・2)に、取引先の売上高に含まれる当社への売上高割合を乗じて計算。その他の調達先の比率に関しても、主要取引先と同様の傾向と仮定し、主要取引先における取引額に対するCO2排出量割合を用いて算定。 本カテゴリは、医薬品、中間製品、研究用試薬の製造に使用される医薬品有効成分を含むため、事業活動との関連性が非常に高い。
・対象は生産事業所および研究所
・2021年度の排出量については、算定時点で、当社の主要取引先のデータが公表されていないため、算定していない。
カテゴリ2 資本財 25.8 26.4 固定資産として扱われる資本財(設備の増強・維持投資)の内、土地を除いた価格に係数を乗じて算定 固定資産として扱われる資本財に基づいて計算。本計算で使用される固定資産は、事業活動に不可欠である。
カテゴリ3 Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 2.7 2.4 非再エネ由来の購入電力量に排出係数を乗じて算定 -
カテゴリ4 輸送、配送
(上流)
0.1 0.1 当社自社生産事業所および物流センターから配送先までの輸送データに排出係数を乗じて算定 -
カテゴリ5 事業から出る廃棄物 0.3 0.3 排出した廃棄物の種類別の重量値に排出係数を乗じて算定 -
カテゴリ6 出張 0.4 0.5 出張交通費支給額に排出係数を乗じて算定 対象は、飛行機及び新幹線の利用
カテゴリ7 雇用者の通勤 0.4 0.7 通勤交通費支給額に排出係数を乗じて算定 -
カテゴリ8 リース資産
(上流)
2.0 2.1 リース車両で使用した燃料消費量に排出係数を乗じて算定 -
カテゴリ9 輸送、配送
(下流)
5.0 - 当社の主要医薬品卸のCSRレポート記載のCO2排出量に、主要医薬品卸全体の売上高に含まれる当社の売上高割合を乗じて算定 医薬品の流通を管理し、安定的な供給を確保するために、輸送・流通は重要な事業活動である。
2021年度の排出量については、算定時点で、当社の主要医薬品卸のデータが公表されていないため、算定していない。
カテゴリ10 販売した製品の加工 関連して
いない
関連して
いない
- 当社は完成品のみを販売している
カテゴリ11 販売した製品の使用 関連して
いない
関連して
いない
- 医薬品の特性上、製品使用に基づくエネルギー使用がない
カテゴリ12 販売した製品の廃棄 0.2 0.1 販売した製品の容器と包装の材料別重量に、排出係数を乗じて算定 -
カテゴリ13 リース資産
(下流)
0.3 0.3 賃貸している保有資産(建物)の用途別の建物床面積に、排出係数を乗じて算定 -
カテゴリ14 フランチャイズ 関連して
いない
関連して
いない
- 当社はフランチャイズ店を運営していない
カテゴリ15 投資 関連して
いない
関連して
いない
- 多量の温室効果ガス排出を伴う投資を行っていない。
合計 49.8 - - 2021年度の排出量については、算定時点で、当社の主要取引先・医薬品卸のデータが公表されていないため、算定していない。
  • * 算定方法の排出係数は、環境省公表の「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(2020年度はver.3.1、2021年度はver.3.2)」に記載の値
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