技術革新やグローバル化など社会構造が変化するなか、事業活動の継続にはサプライチェーンの重要性が増しています。このような環境のもと、人権侵害や労働環境など顕在化してきた社会課題に対応し、持続可能な社会の実現に貢献するには、自社の活動はもとより、サプライチェーンにおけるすべての取引先企業様とともにマネジメント体制を整備し、取り組みを強化していくことが重要です。
当社では、事業継続におけるサプライチェーンの重要性を再認識し、2021年度に「サプライチェーンマネジメント」をマテリアリティに再特定しました。取締役 専務執行役員を責任者とし、取り組みを推進しています。なお、経営層での検討・意思決定が必要な重要事項についてはサステナビリティ戦略会議にて報告・検討されています。
これまで医薬品の品質確保や安定供給のために、取引先企業様と健全なネットワークを構築してきました。更なる連携強化をはかりながら、人権・労働環境や自然環境などに関する取り組みを推進し、取引企業様と社会課題の解決を目指します。
調達活動に関わるすべての従業員には、公平で公正で透明性が高い調達活動を行うために、「調達活動基本方針」を順守することを求めています。取引先企業様には、ご協力いただきたい事項をまとめた「小野薬品 ビジネスパートナーのためのサステナブル調達コード」を策定し、協力の依頼と連携強化を図っています。
各本部のサステナブル調達活動を推進する担当者に対しては、タスクフォース会議において、サステナブル調達の重要性や当社の考え方の浸透を行っています。また、全社員のサステナブル調達の理解浸透に向けて、e-ラーニングの準備を進めております。
当社は、これまで生産部門の取引先を中心に、説明会にて、当社のサステナブル調達に関する考え方を共有し、リスクアセスメントと是正というステップのサイクルをまわしてきました。リスクアセスメントにはEcoVadis社のサステナビリティ評価システム(以下、EcoVadis)を活用し、サステナビリティ高リスクに該当する企業はなかったものの、評価受審取引先の数社に対し、サステナビリティに関する取り組み、是正措置計画の状況を確認させていただく機会を設け、次回のEcoVadisの評価において、これらの取引先の取り組み状況が強化されたことを確認してきました。
外部環境の変化やサステナブル調達の重要性を鑑み、2021年度は、当社のサプライチェーン上のサステナビリティ関連リスクを把握、整理するために、調達金額、業種によるサステナビリティリスク(コンプライアンスや倫理などのガバナンス、人権や労働安全などの社会、環境など)、代替先の有無、生産国などの情報をもとに、リスク分析を行うとともに、2022年度より「サステナブル調達」をマテリアリティに再特定し、活動を強化しております。
同意書取得やリスクアセスメントの実施、リスクが発見された場合の是正対応などの当社のサステナブル調達の活動にご協力いただける取引先と将来は契約していくことを視野に入れ、2022年度は活動対象先の拡大を推進する社内体制の構築や基準策定等をすすめました。また、「小野薬品 ビジネスパートナーのためのサステナブル調達コード」の改訂・同意書の作成を行い、2021年度に行ったリスク分析の結果と当社事業への影響度から優先順位をつけ、取引先への説明会等を行い、同意書取得を開始しました。22年度は対象先180社のうち132社から同意書を回収しました(2023年3月末時点)。
2023年度は、管理体系構築に向け、同意書取得企業へのリスクアセスメントの実施と同意書取得先の拡大をすすめます。リスクアセスメントの対象は、当社事業への影響度と第三者データを基にした業種のサステナビリティリスクを考慮して選定しております。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度以降の予定 |
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2022年度 | |
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対象企業数 | 180社 |
同意書提出企業数 | 132社 |
リスクアセスメント(EcoVadis)評価参加企業数 | 59社 |
2022年度のリスクアセスメント結果においては、前年度までと同様、サステナビリティ高リスクに該当する企業はありませんでした。
サプライチェーンマネジメントについては、小野薬品工業のサステナビリティの考え方もご覧ください。
当社は、内閣府や中小企業庁などが推進する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し「パートナーシップ構築宣言」を公表いたしました。サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者の皆さまとの連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップの構築を目指します。詳細は下記をご確認ください。
業務委託先や代理人などの第三者を起用する前に、腐敗認識指数 (CPI)に基づき国別リスクを確認するなど、贈収賄防止チェックリストによるデューデリジェンスを実施し、危険信号の有無を確認しています。危険信号が識別された場合、第三者から入手した詳細な質問票の回答をコンプライアンス担当役員に提出し、第三者の起用前に承認を受けるというプロセスを整備しています。
当社が外部に動物実験を委託する場合、委託先が動物福祉に関する当該国の法令・基準を遵守していることを確認しています。また、委託先が可能な限り当社の基準に準拠するように努めています。
当社の動物実験における倫理的配慮に関する考えについてはこちらをご覧ください。