技術革新やグローバル化など社会構造が変化するなか、事業活動の継続にはサプライチェーンの重要性が増しています。このような環境のもと、人権侵害や労働環境など顕在化してきた社会課題に対応し、持続可能な社会の実現に貢献するには、自社の活動はもとより、サプライチェーンにおけるすべてのビジネスパートナー(取引先)とともにマネジメント体制を整備し、取り組みを強化していくことが重要です。
当社は、医薬品の品質確保や安定供給のために取引先とこれまで構築してきた健全なネットワークに加え、更なる連携強化により人権・労働環境や自然環境などサステナビリティに関する取り組みを推進することで、取引先とともに社会課題の解決を目指します。事業継続におけるサプライチェーンの重要性を再認識し、「ビジネスパートナーとのサステナビリティマネジメントの実現」をマテリアリティの一つとして取り上げ、代表取締役 副社長執行役員を責任者とし、取り組みを推進しています。なお、経営層での検討・意思決定が必要な重要事項についてはサステナビリティ戦略会議にて報告・検討された後、取締役会に報告され、取締役会が監督する体制を取っています。
調達活動に関わるすべての従業員には、公平、公正で透明性が高い調達活動を行うために、「調達活動基本ポリシー」を順守することを求めています。また、取引先にご協力いただきたい事項をまとめた「小野薬品 ビジネスパートナーのためのサステナブル調達コード(以下、コード)」を用い、協力の依頼と連携強化を図っています。これらの活動を通じて取引先とともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
外部環境の変化やサステナブル調達の重要性を鑑み、当社のサステナブル調達の活動にご協力いただける取引先と優先して契約することを視野に入れ活動を強化しています。現在は、取引金額、当社の医薬品事業にとって重要な取引業種(研究開発・製造・物流など)、第三者データを基にしたサステナビリティリスクが高い業種、代替先の有無という観点で重要取引先を選定し、直接取引先及び二次取引先に対し優先順位をつけて活動を推進しています。
重要取引先に対しては説明会を実施し、当社のサステナブル調達に関する考え方とコードを共有の上、協力依頼と同意書の取得を実施しています。さらに、サプライチェーンにおける潜在的なリスクを特定するため、リスクアセスメントを実施し、状況に応じて現地監査、是正措置の依頼を行うというマネジメント体制を取っています。また、新たな取引先と契約する際にも、サステナビリティリスク等を確認項目に含め、リスクが懸念される業種の企業については、同意書の取得、リスクアセスメントの実施依頼を順次進めています。
リスクアセスメントにはEcoVadis社のサステナビリティ評価システム(以下、EcoVadis)を第一選択として活用しております。EcoVadisは、業種、企業規模、国に合わせてカスタマイズされた質問票により企業の「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な調達」の4分野を包括的に評価しています。また、同社は評価を受けた取引先が、評価結果を自社のサステナビリティパフォーマンス改善・向上に活用できるよう、詳細なフィードバックを含んだスコアカードや、サステナビリティ管理について学び、改善するためのeラーニングなどの教育資材も提供しています。評価への参加を依頼した取引先は客観性、信頼性、比較可能性の高い評価結果を基に、自社のサプライチェーンサステナビリティを評価することができます。取引先との協業による価値向上を目指す当社にとって、EcoVadis社から提供される本評価システムは、当社と取引先双方にとって最も適したシステムであると考えています。
当社の依頼に応じて、EcoVadisの結果を共有いただいた取引先には、EcoVadisの総合スコアおよびテーマ別スコアに応じて、再調査を依頼することを定めています。スコアが当社の基準に満たない取引先には現地監査を実施し、状況の確認とともに、サステナビリティリスク改善に対する支援を行っています。
また、EcoVadis以外のリスクアセスメントとして、第三者機関によるサステナビリティ評価(PSCIのSAQ、RBAのSAQ等)を受審済みの取引先には、EcoVadisの代替として評価結果の共有をお願いし、サステナビリティの取り組み状況を確認しています。
活動対象 | ||||
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2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度以降の予定 | |
同意書 |
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リスクアセスメント |
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2023年度までに取引金額上位98%の取引先から重要取引先を選定し、活動対象を昨年度の180社から410社(取引金額の82%)に拡大しました。結果、内299社から同意書を回収し、139社にリスクアセスメントを実施、回答いただきました。さらにEcoVadisのスコアが当社の基準に満たなかった取引先企業1社に対し現地監査を実施し、是正措置計画の必要性がないことを確認しました。また、地球環境保全の観点から、サステナビリティ関連リスクが高いと考えられる産業廃棄物処理に関して、取引のある中間処理業者42社に対して、業種特有のサステナビリティリスクに関するリスクアセスメントに回答いただきました。2024年度は当社の医薬品事業にとって最も重要な医薬品の製造に欠かせない原薬・製剤の二次取引先に対して活動を進める予定です(2024年3月末時点)。
2021年度~2023年度進捗 (2024年3月末時点) |
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同意書取得対象企業数 | 410社 |
同意書提出企業数 | 299社 |
リスクアセスメント対象企業数 | 234社 |
リスクアセスメント評価参加企業数 | 139社 |
現地監査を実施した企業数 | 1社 |
是正措置を依頼した企業数 | 0社 |
(監査結果により取引中止となった企業数) | 0社 |
各本部のサステナブル調達活動を推進する担当者に対しては、タスクフォース会議を実施し、サステナブル調達の進捗状況を共有するとともに、サステナブル調達の重要性や当社の考え方の浸透を行っています。また、全社員を対象にサステナブル調達の理解浸透に向けて、e-ラーニングを実施しました。
2023年9月、PSCI(製薬業界サプライチェーンイニシアティブ)に加盟いたしました。PSCIは2006年に製薬会社の大手21社が集まり設立された非営利団体です。サプライチェーンを通じて社会・経済・環境の成果を改善するとともに、労働者の労働環境・安全なプロセスと工場設備・経済の発展・地域社会のきれいな環境を保つことを目的としています。サプライヤーにとっては、複数の製薬企業からリスク評価や監査を受けるという重複を避けることができ、また製薬企業にとっては効率的で効果的な監査体制が可能になり、製薬企業とサプライヤーの双方にとってのメリットにつながります。PSCIの掲げる倫理、労働条件、安全衛生、環境保護、マネジメントシステムのサプライチェーン管理のための原則に対する適合を進めることで当社と取引先企業様相互の持続的な企業価値向上を図ってまいります。
当社は、内閣府や中小企業庁などが推進する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し「パートナーシップ構築宣言」を公表いたしました。サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者の皆さまとの連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップの構築を目指します。詳細は下記をご確認ください。
業務委託先や代理人などの第三者を新たに起用する際は、契約前に、腐敗認識指数 (CPI)に基づき国別リスクを確認するなど、贈収賄防止チェックリストによるデューデリジェンスを実施し、危険信号の有無を確認しています。危険信号が識別された場合、第三者から入手した詳細な質問票の回答をコンプライアンス担当役員に提出し、第三者の起用前に承認を受けるというプロセスを整備しています。
当社が外部に動物実験を委託する場合、委託先が動物福祉に関する当該国の法令・基準を遵守していることを確認しています。また、委託先が可能な限り当社の基準に準拠するように努めています。
当社の動物実験における倫理的配慮に関する考えについてはこちらをご覧ください。