異常気象をはじめとする地球温暖化の影響は年々大きくなってきており、地球温暖化防止に向けた取り組みは、国際社会の重要な課題となっています。また、COP21におけるパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑えることが掲げられ、人間活動による温室効果ガスの排出量を実質的にはゼロにしていくことを目標としています。そこで、当社は「環境グローバルポリシー」に基づいた中長期環境ビジョン(ECO VISION 2050)を定めました。環境に対する企業の社会的責任を認識し、豊かな地球環境の実現に向けて、事業活動の全分野において環境に配慮した活動を推進します。
当社グループは、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、革新的な医薬品の創製とともに、気候変動などの環境問題の課題解決に取組み、持続可能で豊かな社会の実現に貢献します。
当社は持続可能な社会の実現のため、2050年に向けた中長期環境ビジョン「Environment Challenging Ono Vision(ECO VISION 2050)」を策定しました。
近年、気候変動など地球環境課題が深刻化しており、2050年の未来では、水や食料の不足、新たな疾患の増加、自然災害の甚大化による生活の基盤の破壊など、さまざまな脅威が人々の健康で健全な生活を脅かすと予想されます。
「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、当社が、革新的な医薬品の創製によって、未来においても健康で健全な社会づくりを推進するためには、当社の事業活動が健全な地球環境に支えられて成り立っている事を認識し、環境課題の解決に向けた取り組みを強化することが重要です。それが環境に対する企業の責任であると同時に、持続的な事業活動の基盤構築にもつながると考えます。
人々が健康で健全な社会を迎えられるよう、当社は「ECO VISION 2050」のもと、2050年を見据えて環境負荷低減に向けて挑戦していきます。
当社は、2019年に策定した中長期環境ビジョン「ECO VISION 2050」のもと、「脱炭素社会の実現」、「水循環社会の実現」、「資源循環社会の実現」に向けたそれぞれの目標を設定し、取り組みを行ってきました。さらに2023年には、様々な地球環境課題に対する取り組みを強化・加速すべく中長期環境目標を見直しました。新目標は、ECO VISION 2050で掲げた「健康で健全な社会づくり」を推進するべく業界を牽引できる目標であると認識しています。新目標達成に向け、様々な取組みを加速させて参ります。
2019年度に設定した中長期環境目標「ECO VISION 2050」の実現に向け3つの重点項目「脱炭素社会の実現」、「水循環社会の実現」、「資源循環社会の実現」に取り組んで参りました。
2022年度は、スコープ1+2で2017年度比38.2%削減、スコープ3で2017年度比30.3 %削減、再生可能エネルギー利用率21.5%となり目標を上回る進捗となりました。
指標 | 中長期目標 | 2022年度目標 | 2022年度実績と進捗 |
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温室効果ガス排出量(スコープ1+2) (マーケットベース) |
2030年度に55%削減、2050年度にゼロにする 〈2017年度比〉 |
2017年度比 21.0%以上削減 |
18.4千t-CO2 (2017年度比38.2%削減*1) |
温室効果ガス排出量(スコープ3) | 2030年度に30%削減、2050年度に60%削減する 〈2017年度比〉 |
2017年度比 11.5%削減*2 |
52.3千t-CO2 (2017年度比30.3%削減*2) |
全消費電力に占める再生可能エネルギー利用率 | 2030年度に55%以上、2050年度に100%にする | 21.0%以上 | 21.5% |
温室効果ガス排出量(Scope1+2)
電力消費量と再生可能エネルギー利用率
2019~2021年度は取水量が毎年削減されたにも関わらず、主力製品の大容量規格品の追加による生産箱数の減少により、生産箱数で補正した取水量原単位は、2017年度(基準年度)比で増大しました。一方、2022年度は、取水量のさらなる削減が実現できたことと、主力製品の使用拡大に伴い生産箱数が増大したことにより、取水量原単位は2017年度(基準年度)比で16%の削減となりました。また、2022年度の取水量(196.4千m3)は前年度比で10.5%の削減となり、水資源使用量(取水量)における中長期目標、単年度目標をいずれも達成しました。
指標 | 中長期目標 | 2022年度目標 | 2022年度実績と進捗 |
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水資源使用量(取水量) | 2030年度に生産数量原単位で15%削減する 〈2017年度比〉 |
前年度以下 (2021年度:219.4千m3) |
196.4千m3 (生産数量原単位で2017年度比16%削減) |
取水量(水資源使用量)と取水量原単位(2017年度比)
生産数量原単位の産業廃棄物の排出量については、2018年度は減少したものの、その後、主力製品の大容量規格品の追加による生産箱数の減少および研究活動の活性化など社内の環境の変化の影響を受け、2019年度以降は未達となりました。また、2022年度の産業廃棄物排出量については、福井研究所の閉鎖後に伴い不要什器類の一斉廃棄を実施したことや、山口工場において新製品(カイプロリス)の試作検証に伴う高活性廃液の発生により、増加しました。
事業活動を通じた環境負荷低減については、「医薬品に対する取り組み」をご覧ください。
指標 | 中長期目標 | 2022年度目標 | 2022年度実績と進捗 |
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産業廃棄物の最終埋立処分率 | 毎年1%以下とする | 1%以下 | 0.02% |
産業廃棄物の排出量 | 2030年度に生産数量原単位で15%削減する 〈2017年度比〉 |
前年度以下 (2021年度:479.1t) |
492.8t (生産数量原単位で2017年度比9.6%増加) |
─ | 事業活動において、環境負荷低減を推進する | ─ | 製品包装の材質や包装形態の変更などにより環境負荷を低減 |
産業廃棄物の排出量(原単位)と最終埋立処分率
当社の中長期的な温室効果ガス削減目標は、2019年6月、SBTiから科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標として承認されました。SBTiは、国際的イニシアチブである「Science Based Targets initiative(SBTi)」です。
当社は、2019年10月、TCFDに賛同を表明しました。TCFDは、気候関連のリスクと機会についての情報開示を促すために金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」です。
当社は、2019年、「TCFDコンソーシアム」に参加しました。「TCFDコンソーシアム」は、TCFDによる提言(以下「TCFD 提言」という。)に賛同する事業会社及び金融機関等による対話を通じて、TCFD 提言に基づく効率的で効果的な開示を促進し、その情報が適切に評価され資金供給が促されるような「環境と成長の好循環」に貢献していくことを目的として設立されたコンソーシアムです。
当社は、2019年10月、「ウォータープロジェクト」に参加しました。「ウォータープロジェクト」は、2014年に制定された「水循環基本法」で、国・企業などが連携し日本の水循環を守っていくことが定められたことを受けて発足した官民連携プロジェクトです。
当社は、2020年6月、「RE100」に加盟しました。「RE100」は、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す国際イニシアチブであり、気候変動対策を推進する国際環境NGOであるThe Climate Groupが、企業に環境影響の情報開示・管理を促している国際NPOであるCDPとのパートナーシップの下で運営しています。
当社は、2021年8月、筑波研究所へのカーボンニュートラル都市ガス(CN都市ガス*)導入を機に、「カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス」に加盟しました。本アライアンスは、持続可能な社会の実現に向け、カーボンニュートラルLNG(以下CNL)を調達・供給する東京ガス株式会社と購入する企業・法人が一丸となり、CNLの普及拡大とその利用価値向上の実現を目的として設立された協力体制です。
当社は、2022年4月、経済産業省が公表した「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本構想」に賛同しました。GXリーグは2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えてGXヘの挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長実現を目指し、企業が二酸化炭素(CO2)の排出量を売買する新たな取引市場の創設に向け官・学と共に協働する場です。