リード文
小野薬品工業株式会社 サステナビリティ推進部サステナビリティ推進室, 小野薬品工業株式会社 サステナビリティ推進部社会貢献推進課, system
水循環社会の実現に向けた方針
水は人々の生命や健康を維持する上で重要な資源です。当社にとっても革新的な医薬品を創製し、患者さんに安定供給するためには良質な水が不可欠です。当社は、水の効率的な利用、適切な排水管理、およびステークホルダーとのエンゲージメント強化を通じて、地球環境への当社事業の負の影響を最小化し、持続可能な水循環社会の実現に取り組みます。
- 持続可能な開発目標(SDGs)の目標6「安全な水とトイレを世界中に」の達成に貢献するため、責任ある水資源管理を行います。
- 最新技術の積極的な採用や運用改善を通じて、水の効率的な利用を推進します。特に水ストレス地域での事業活動や調達においては、地域社会や生態系への影響を十分考慮し、水の再利用やリサイクルを推進し、持続可能な水利用に努めます。
- 当社の生産および研究拠点に対して水関連リスクを定期的に評価し、リスク軽減に向けた取り組みを実施します。水関連リスクが懸念される主要取引先に対しても、水資源管理の向上を支援し、協働して水循環社会の実現を目指します。
- 当社の事業所からの排水を適切に管理するとともに、主要取引先にも排水管理の徹底を求めます。万が一、汚染事故などが発生した場合には、速やかに原因を特定し、是正措置を講じるとともに、これらの情報を適切に開示します。
- 社内外のステークホルダーとのコミュニケーションを強化し、生態系保全や水環境の維持・改善に努めます。
- 従業員への研修や情報発信を通じて、水循環社会の実現に向けた意識の醸成に努めます。
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水に関するリスクの分析と評価
水に関するリスクについては、環境委員会およびその下に設置しているネイチャーポジティブ分科会(旧、水分科会)が中心となり、事業に影響を及ぼすと考えられるリスクを特定し、リスク軽減のための対応策を検討しています。
また、2024年度、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に沿って水関連リスクを再特定し、情報開示を行いました。詳細は「TNFD提言に基づく情報開示」をご覧ください。
主要なリスクと対応
1.水不足リスク
- リスク評価
- 当社の総取水量の95%以上を占める工場および研究所について、世界資源研究所の水リスク評価ツール(Aqueduct)を用いて水不足の指標である水ストレス(その地域における年間の水利用量を利用可能な年間の水の量で除した値)を評価しました。その結果、水ストレスが「高い(High risk)」または「非常に高い(Extremely high risk)」と判定された工場および研究所はありませんでした。また、工場および研究所が立地する自治体を対象に渇水履歴や水源余裕率についてデスク調査を実施し、地域の水供給量には十分な余裕があることを確認しました。以上の結果より、当社の工場および研究所においては、緊急性の高い水不足リスクはないと判断しました。
- 対応
- 当社工場および研究所が立地する地域には緊急性の高い水不足リスクはないと判断しましたが、毎年水に関する全社目標を策定し、水使用量の削減に向けた取り組みを実施しています。また、水使用量が多いフジヤマ工場、山口工場、水無瀬研究所および筑波研究所の4事業所において水使用量削減のための計画を立案し、水の効率的な利用に努めています。
2025年度、山口工場において、空調設備から発生する結露水を冷却水として再利用するとともに、高温蒸気を供給する配管内で発生した凝縮水をボイラータンクに戻して再利用しました。2026年度からは、フジヤマ工場において、これまで廃棄されていた製薬用水設備のブロー水を冷却塔の補給水として再利用することを計画しています。両工場の取り組みにより、年間約8,000 m3の水をリサイクルする予定です。
引き続き、従業員を巻き込み水使用の効率化を進めるとともに、地域の豊かな水資源の保全につながる施策を推進していきます。
2.水質汚染リスク
- リスク評価
- 医薬品の研究、製造の過程で使用される原材料や中間体、開発品や医薬品の有効成分といった化学物質には、人々の健康や生態系に悪影響を与えるリスクがあります。万が一、当社の事業活動に伴う水質汚染やそれに伴う危害が発生した場合には、地域のステークホルダーに重大な影響を与えるだけでなく、当社事業にも大きな影響を与える可能性があります。
有害性が既知であり、法規制により管理されている物質については、工場および研究所からの排水中の濃度をモニタリングすることでリスクを評価しています。また、開発品や医薬品の合成中間体および有効成分など環境への有害性が未知である化学物質については、水生生物への影響を指標にリスクの評価を進めています。
- 対応
- 当社の工場および研究所において、有害化学物質の使用削減に努めます。法規制で管理されている物質については、法規制が定める排水中の許容限度を遵守することはもとより、一部の測定項目については自治体との協定により定めた基準値あるいは自主基準値を設定し、法規制よりも厳しい管理値での排水管理を行っています。2024年7月、さらにこの運用を強化するため、有害化学物質については法規制より10倍厳しい自主管理目標値(法規制の許容限度の1/10)を設け、管理を開始しました。また、開発品や医薬品の有効成分など有害性が未知な物質については、コンピューターシミュレーションによる定量的構造活性相関(QSAR)により有害性を予測するとともに、リスク評価体系の構築を進めています。
3.取引先における水関連リスク
- リスク評価
- TNFD提言に沿って取引先の事業活動に伴う水への依存および影響を評価しました。医薬品製造に関わる全取引先に対して、AqueductおよびWWF水リスクフィルターを用いて水ストレスおよび洪水リスクの評価を実施しました。さらに、当社の事業継続にとって重要な取引先に対しては、環境マネジメントシステムの認証取得状況や過去の重大な環境事故や違反の有無を調査し、排水などの汚染リスクを評価しました。
- 対応
- 水関連リスクを軽減させるため、当社の重要な取引先に対して、2026年の目標年を1年前倒しし、水関連リスク管理体制を構築しました。当社グループの重要取引先に対しても、水関連リスク管理体制の構築を目指していきます。上記のリスク評価で水関連リスクが懸念された取引先に対しては、EcoVadis社のサステナビリティ評価システムなどの活用や、ヒアリングを通じて事業活動に伴う水関連リスクの詳細を確認します。取引先の事業活動において重大な水関連リスクが特定された場合、現地監査や是正措置の依頼を行います。
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目標
小野薬品工業株式会社 サステナビリティ推進部サステナビリティ推進室, 小野薬品工業株式会社 サステナビリティ推進部社会貢献推進課, system
進捗
2025年度の取水量は186.0千m3で、2024年度に比べ16.8千m3削減(削減率:8.3%)しました。また、基準年度(2017年)と比べると、2025年度の取水量は139.1千m3の削減(削減率:42.8%)となり、中長期環境目標の達成に向けて順調に水使用量を削減しています。
水使用量削減のための具体的な取り組みとしては、工場および研究所において流量計設置により見出した水使用量の多い設備の運用改善による節水(製薬用水設備のブロー操作見直し、製薬用水や注射用水タンクの水位見直しや滅菌作業の最適化、空冷チラー・全熱交換器への水噴霧停止や水噴霧作動設定温度の変更)、熱排水タンクおよび高温排水の熱回収による冷却水の削減、高効率ボイラーへの更新、空調設備からの結露水の再利用、定期的な漏水点検などの実施が挙げられます。また、全社的な取り組みとして、水に関するサブ分科会を設置し、水使用量削減に向けて事業所単位の新たな取り組みを協議するとともに、社員の節水意識を向上させる取り組みを行っています。
水使用量(取水量)

排水量

- 水使用量および排水量のデータ集計サイト:小野薬品工業単体(フジヤマ工場/城東製品開発センター/山口工場(2018年度より追加)/水無瀬研究所/福井研究所(研究拠点の再編のため2022年3月に閉所)/筑波研究所/本社およびその他の国内事業所)
水質汚染リスク軽減のための取り組み
環境中に放出された医薬品有効成分の生態系に及ぼす影響について社会的な関心が高まりつつあります。当社では医薬品の製造工程において医薬品有効成分などの環境中への放出を防止する取り組みを行っています。詳細は生物多様性のページをご覧ください。2022年度から生産の主力であるフジヤマ工場にて、毎年排水の総排水毒性試験(WET試験)を実施しています。2024年度はフジヤマ工場、山口工場および筑波研究所の3拠点で、2025年度からはすべての当社工場および研究所(5拠点)においてWET試験を実施しました。今後も年1回のWET試験を実施し、当社工場および研究所からの排水の適切な管理に役立てていきます。
後期開発品および医薬品の有効成分については、コンピューターシミュレーションを用いた定量的構造活性相関(QSAR)により環境有害性を予測するとともに、順次、水生生物への影響を評価し、安全データシート(SDS)への情報掲載を進めています。
中長期環境目標の見直し
当社単体を対象とする中長期環境目標の見直しを進めており、2027年度までに当社グループを対象とする水に関するグローバル目標を策定し、開示を行います。
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外部からの評価
当社は、国際環境非営利団体であるCDPが実施している水セキュリティの評価において、最高評価である「Aリスト」に5年連続選出されました(2021~2025年度)。
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