グローバル展開を加速させる中、今まで以上に社員の置かれている環境はますます多様化しており、全ての社員に最大限の能力を発揮し活躍してもらうにはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進が重要です。具体的には事業の継続的な成長を実現するために、人財の採用・育成・確保(リテンション)が重要であり、「異なる多様な価値観を尊重しながら、社員が安心して働き、活躍している」状態を実現することが必要です。このため、社員一人ひとりが個性を発揮できる仕組みや公平で透明性の高い魅力ある企業風土、変化に適応できる柔軟な労働環境整備などを進めています。当社はDE&I推進テーマとして、「異なり」×「一体感」を掲げています。異なるバックグラウンドや考え方を持つ人財が一緒に働くことで新たな気づき、アイディアが生まれます。多様性を受け入れる企業風土を醸成することで一体感のある企業となり、外部からも魅力があり、かつ当社で長く活躍したいと思う人財のあふれる組織づくりを目指しています。エンゲージメント調査の結果はこちらをご覧ください。
当社では多様性の向上における取り組みとして、「管理職」「個の経験と視点」「働き方」の三つを中心に多様化を推進しています。
管理職の多様化については、特に若手・キャリア入社・女性の3つを柱に多様化を進めています。具体的には、昇格制度において2022年度に一部の等級における年功序列の要素を撤廃することで、若手の管理職への早期抜擢を可能としました。また管理職のキャリア採用も積極的に実施しており、現在では管理職の17%、100名近くのキャリア採用の方が活躍しています。女性社員の活躍については、女性管理職比率が2022年度から1.7%上昇したとはいえ、5.8%(2023年度)にとどまっており、当社の課題の一つとなっています。まずは女性管理職の候補者を増やすため、女性活躍推進法に基づき、2021年4月~2年間で「係長級の女性比率15%」を目標に掲げ、これを達成しました。今後は女性管理職比率を2026年度までに10%、2031年度までに20%達成に向けて取り組んでいきます。2023年度はダイバーシティマネジメントを阻害する要因のひとつであるアンコンシャスバイアスに関する教育を全管理職へ実施しました。特に役員・本部長クラスを対象に、アンコンシャスバイアスをコントロールし、女性管理職育成について考える研修を実施しました。今後も 目標達成に向けて、年齢・社歴・性別に関わらず公平に人財を採用・育成・確保できる仕組み・環境を整備していきます。
目標 | 取り組み計画 | 各年度の結果 |
---|---|---|
2026年度までに管理職に占める女性比率を10%以上にする |
|
女性管理職比率 2023年度:5.8% |
個々が多様な経験や視点を獲得できるよう、「社内公募制度」や「社内チャレンジジョブ制度」を設けています。
また、社内の業務で得られない新たな知識・経験を獲得することを目的に、2023年6月から「副業・兼業」を可能としました。
社内外を問わず多様な経験と視点を獲得することで、さらなる生産性の向上、革新的なイノベーション創出の実現を目指します。
「管理職の多様化」および「個の経験と視点の多様化」を進める上で、働き方の多様化をはじめ、継続的に働きやすい労働環境へ整備していくことが重要と考えています。当社では、優秀な人財の採用・確保に資する働き方改革を進め、ワークライフバランスの向上に継続的に取り組んでいます。業務効率化としてDX推進、ITを活用したシステムの改善、魅力的な労働環境づくりとしてコアタイムを撤廃したスーパーフレックスタイム制度や在宅勤務制度、勤務間インターバル制度などの導入も進めてきました。2023年度は1人当たりの平均月間残業時間は16.2時間、有給休暇取得率は71.3%という結果であり、月間残業時間は前年と同水準、有給休暇取得率は目標としていた70%を達成しました。2024年度は、営業外勤者においてフレックスタイム制度を導入、勤続年数に関わらず年次有給休暇の付与日数を拡大(一律20日)するなど、より柔軟な働き方の実現に向けて推進しています。また、平均月間残業時間は、1人あたり3時間(1日10分)の短縮、有給休暇取得率は70%以上を設定し、メリハリのある働き方を実現することを目指しています。働き方の多様化の取り組みを通じて、魅力ある労働環境を整備し、採用競争力の強化・優秀な人財確保につなげていきます。
当社では、社会全体で子育て家庭を支援し、子どもを生み育てやすい環境づくりを進めることは、企業が取り組むべき課題の一つであると捉えています。「次世代育成支援対策推進法」に基づいた行動計画を策定し、これに則って仕事と育児の両立支援に取り組んでいます。
現在は「男性の育児休業または時短勤務の少なくともどちらかの取得率を80%以上にする」という目標を掲げ、取り組みを進めています。2017年4月以降、新たな育児支援制度である「育児参加奨励休暇」を導入するとともに、育児休業を取得する男性社員への職場の理解促進のための働きかけとして、子育てが男女共有のライフイベントであることの発信を強めるなど、男性が積極的に育児に参加できる環境を整備しています。具体的には、妊娠・育休開始から復職までのサポートを目的としたガイダンス(プレママ・プレパパガイダンス)や、復職時の不安軽減、スムーズな仕事復帰の支援を目的とした育児休業復職時オリエンテーションを実施するとともに、社員やその上司を対象とした育児休業復職後のフォローアップセミナー(育児休業復職後から始める両立支援セミナー)を実施し、仕事と育児の両立を支援しています。また、社内報やポータルサイトで男性の育児休業取得の体験談などの発信を行っています。このような仕事と育児の両立支援や職場環境作り等が評価され、基準適合一般企業として厚生労働大臣より認定を受け、子育てサポート企業として認定マーク(くるみん)を2008年以降2020年までに計5回取得し、2019年11月には特例認定マーク(プラチナくるみん)を取得しました。
目標 | 取り組み計画 | 各年度の結果 |
---|---|---|
2026年度までに男性の育児休業または時短勤務の少なくともどちらかの取得率を80%以上にする |
|
男性育休取得率 2023年度:65.4% 男性育休平均取得日数 2023年度:46.2日 |
男性育児休業取得率
女性社員の定着率*
社員・家族の冠婚葬祭、転勤に伴う転居や天災地変のような不可抗力の事故等で出勤不能となった場合以外にも、有給の特別休暇が使用できる制度を設けています。
当社では、障がい者雇用を積極的に推進しており、障がい者が働きやすい環境づくりに取り組んでいます。2022年4月には、障がいのある方により多くの働く機会を提供するために、100%子会社の小野薬品ユーディ株式会社を設立し、同年10月には、特例子会社として認定されました。まずは印刷事業から手掛けており、今後はより多様な業務で障がいのある社員が能力を十分に発揮し、活躍できる場として広げていきます。このように働きがいのある職場を提供することで、持続可能な社会に貢献していきたいと考えています。 現在、30名を超える従業員が生き生きと活躍しています。
障がい者雇用率
当社では、DE&I推進の一環として、性的指向や性自認(SOGI)といった多様性を尊重し、当事者である社員の心理的安全性を確保し働ける職場づくりに取り組んでいます。具体的には、当事者が匿名でLGBTQ+に関して相談ができる外部相談窓口の設置や、社員のSOGIに関する理解を促進し、正しい知識に基づいた対応ができるように、全社員向けのe-ラーニング、外部講師を招いたセミナーやマネージャー職向け研修を実施しています。
また、当事者に社内にAlly(アライ:LGBTQ+を理解し、支援している人たち)がいることが可視的に伝わるよう、当社オリジナルのAllyステッカーを作成し、希望する社員に配付しています。
これらの取り組みに対して、2023年度は一般社団法人work with Prideが主催し、企業等の団体におけるLGBTQ+に関する取組みを評価する「PRIDE指標2023」において、「シルバー」を受賞しました。
今後も当事者である社員が働きやすい環境づくりに向けて一つひとつの取り組みを着実に進めて参ります。
PRIDE指標の詳細につきましてはこちらをご覧ください。
多様な人財が共通の価値観をもってグローバルで活躍することを目指して、当社は2023年10月より、グローバル共通の人事制度の運用を開始しました。具体的には、制度の骨格である「等級」「評価」「報酬」のそれぞれの制度の考え方およびプロセスをグローバルで統一することで、タレントマネジメントをはじめとした人事施策や業務プロセスの標準化を目指します。
従業員が個々に担う職務や責任を明確にし、グローバル共通の基準に沿って等級を決定します。これにより、求められる役割や成果、処遇に対する納得感を醸成するとともに、各ポジションに求められる要件を明らかにすることで、従業員のキャリア自律を促します。
グローバル共通のコンピテンシー(従業員に期待する思考・行動様式を明文化したもの)を策定し、併せて評価項目、尺度、プロセスを共通化しました。これにより、国や拠点を越えた人財の活躍や育成、コンピテンシーの発揮を後押しします。また、コンピテンシーには、「公正さと誠実さ」の項目を設け、コンプライアンスの遵守を全社員の人事評価に含め、報酬と紐づけることでコンプライアンス遵守に対する社員の意識向上を図っています。個人の目標は年度初めに上位目標からカスケードダウンし設定します。四半期に一度の期中面談に加え、状況変化に応じて必要なコミュニケーションを取ることにより目標を随時更新しています。年度末には総括面談、評価結果フィードバック面談を行い、個人の強みや弱み、今後のキャリア形成などについて話し合います。
グローバル共通のガイドラインを整備し、成果創出・コンピテンシーを発揮した従業員に報い、かつ、市場競争力のある報酬制度を通じて、従業員のモチベーション向上に寄与します。
最低賃金法を遵守し、従業員に最低賃金以上の賃金を支払っています。社員の生活を守り、安心して働きやすい職場づくり推進しております。
当社には全国組織である小野薬品労働組合と化学一般小野薬品労働組合(城東製品開発センター)の2つの労働組合が存在します。2024年3月末現在の組合員数は小野薬品労働組合1820名、化学一般小野薬品労働組合12名です。両組合とも会社との関係は良好です。