コンプライアンス

リード文

当社は、人々の生命にかかわる医薬品に携わる製薬企業としての責任を自覚し、法令遵守はもとより、高い倫理観に基づき行動すべく、「ONOグループ コード・オブ・コンダクト」を設けています。そして、従業員一人ひとりのコンプライアンス教育を徹底するとともに、お取引先の協力のもと、適正な調達活動を進めています。

小野薬品コンプライアンス体系

当社は、人々の生命にかかわる医薬品に携わる製薬企業としての責任を自覚し、法令遵守はもとより、高い倫理観に基づき行動すべく、「ONOグループ コード・オブ・コンダクト」を設けています。当社のコンプライアンス体系は、企業理念のもと、企業活動において守るべき基本指針として「ONOグループ コード・オブ・コンダクト」、その推進活動の考え方や管理体制を「コンプライアンスグローバルポリシー」として策定しています。また、プロモーション活動における行動基準を示した日本製薬工業協会の製薬協コード・オブ・プラクティスに沿って、「小野薬品コード・オブ・プラクティス」を策定し推進しています。

コンプライアンス体系の実践に際しては、透明性の確保ならびに不正・腐敗行為の防止、国内外の社会情勢を常に意識するよう、従業員に周知徹底しています。
また、近年コンプライアンス遵守に対する社会からの要請が高まっています。当社においても従来以上にコンプライアンス遵守への意識を向上させるために、従業員一人ひとりがコンプライアンス遵守を自分事として捉える文化を醸成すること、コンプライアンス違反の未然防止を実現することを目的に、全職務等級の人事考課におけるコンピテンシーに「公正さと誠実さ」の項目を設け、従業員の意識向上に努めています。なお、社内諸規定の遵守状況については、監査部が毎年内部監査を実施しています。

詳細については、以下の「企業理念・ONOグループ コード・オブ・コンダクト」、「コンプライアンスグローバルポリシー」、「小野薬品コード・オブ・プラクティス」をご参照下さい。

コンプライアンス体制強化のための取り組み

コンプライアンス推進体制

コンプライアンス体制強化のため、執行役員をコンプライアンス担当役員に任命するとともに、グループコンプライアンス委員会を設置しています。同委員会では、コンプライアンスに関する問題の検討・審議や研修などの企画・推進、子会社からの報告事項等についても取り上げ、議論ができる体制としています。また、内部監査部門と連携し、事業所ごとの取り組み状況を確認するとともに、全社的リスクマネジメント(ERM)を推進するリスクマネジメント委員会とも連携し、コンプライアンスリスクの管理も行っています。2020年度の重大なコンプライアンス違反を受けて、2021年10月にはコンプライアンス強化のため、各部門に運営責任者としてコンプライアンス推進責任者、コンプライアンス案件に関する職場の相談窓口として全部署においてコンプライアンス・マネジャーを任命し、組織のリスク全般を管理するリスクマネジャーと連携をはかり、組織内で上がってきた相談案件に対し迅速に対策を講ずる運営体制をとっています。相談案件については、リスク・コンプライアンス管理部にも情報共有し、コンプライアンス・マネジャーに対してアドバイスを行っています。さらに営業本部には別途コンプライアンス全般を管掌する特命担当を配置し、営業本部内のコンプライアンス推進会議などに定期的に参画するとともに、アドバイスや指摘をする事で運営の適正化、未然防止意識の定着に努めております。
2021年10月以降のコンプライアンス推進体制の詳細については、2020年度の重大なコンプライアンス違反を受けた直後の対応『〔1〕コンプライアンス体制強化』をご参照ください。
グループ会社に対しては、コンプライアンス違反が発生しないように体制の整備や規程の整備などを行うよう求めています。

通報・相談体制

当社では、ハラスメントを含むコンプライアンス違反の未然・再発防止、適切な就労環境の確保、違反発生時に迅速な対応・措置を講じて社会的信頼の失墜や損失を最小限にとどめることなどを目的に、24時間受付可能な社外窓口「小野薬品ホットライン」をはじめとする、通報・相談窓口を社内外に設置(下図参照)しています。代表取締役社長、コンプライアンス担当役員および監査役などの経営層にも直接通報・相談ができる体制を整備しています。各種通報・相談窓口は、当社(当社が全額出資する国内グループ会社を含む)の全ての役員、従業員(契約社員、派遣社員、嘱託社員、出向者等を含む)、ならびに退職後 1年以内の従業員等(役員を除く)であった者が利用できます。窓口が受領した通報・相談は直ちにリスク・コンプライアンス管理部に報告され、リスク・コンプライアンス管理部が事実確認のための調査を行います。調査の結果、不正行為等の存在が明らかになった場合は、速やかに是正措置、再発防止策その他必要な措置を講ずるとともに、懲戒処分等、厳正に処分しています。これらの進捗は、適宜、通報者に通知するよう努めています。通報・相談窓口を利用するうえで、通報者の氏名、内容、プライバシーに関する事項等については、調査において必要な関係者以外には開示しないことを厳守するとともに、匿名の通報にも対応しています。また、本通報窓口を利用した通報者に対して、通報したことを理由に不利益になる取り扱いは一切行われず、法的に保護されています。これらは、2022年度から施行された改正公益通報者保護法を踏まえて新たに制定した内部通報規程にも明記しています。また、これらの通報・相談体制について従業員への周知を図るため、研修等を実施しています。今後も継続して通報・相談の意義や重要性に加え、通報者・相談者の保護についても啓発していくことで、躊躇することなく通報・相談できる体制の整備に努めていきます。
内部通報体制の整備の詳細については、2020年度の重大なコンプライアンス違反を受けた直後の対応『〔4〕内部通報体制の整備』をご参照ください。

コンプライアンスリスクの管理

コンプライアンスリスク管理のPDCAサイクルを回すリスク・コンプライアンス管理部は、コンプライアンスリスクの可視化を目的に、小野薬品の全本部や各統括部・その他部署に対して年2回ヒアリングを行っています。このヒアリングでは、当該部署のコンプライアンスリスク管理の責任者であるコンプライアンス推進責任者やリスクマネジャーが抽出するコンプライアンスリスクに加え、ヒアリングの結果から、コンプライアンスリスクの発生頻度や影響度などを評価し、対策についてもリスク・コンプライアンス管理部がコンプライアンス推進責任者やリスクマネジャーと検討を重ね、その進捗をモニタリングしています。

コンプライアンス教育

コンプライアンスに対する意識の維持・向上のためには役員および全従業員(パート、契約社員含む)への研修・啓発活動を継続的に行うことが重要です。当社では役員および全従業員を対象に、e-ラーニングを用いたコンプライアンス全般に関する100問のテストを年2回行っています。また、毎年10-12月の3カ月間を当社の「コンプライアンス推進強化月間」として設定し、役員および全従業員を対象に、部署別のディスカッションを実施するなど、コンプライアンスの取り組みを強化しています。
2021年度以降、2020年度に起きた重大なコンプライアンス違反事例を受けて、再発防止を徹底するために、役員および全従業員を対象に、贈収賄防止に関する教育研修を毎年実施しています。また、ハラスメントについては全従業員を対象に毎年研修を行うとともに、新任管理職を対象にした研修も実施し、働きやすい職場環境作りに向けての取り組みを強化しています。販売情報提供活動ガイドラインに関連する研修では、実際に確認されたコンプライアンス上の課題を踏まえた研修内容とし、定期開催するだけでなく問題が発生すれば速やかに再発防止に向けた研修を実施しています。その他のコンプライアンステーマについてもリスクを踏まえた研修プログラムを推進しています。
コンプライアンス研修の詳細については、2020年度の重大なコンプライアンス違反を受けた直後の対応『〔2〕社員教育』をご参照ください。

違反行為への対応・是正措置

発生した違反に対しては、リスク・コンプライアンス管理部が調査を行います。その結果、コンプライアンス違反と認定された案件については、行為者に対し、解雇を含む懲戒処分等を科しています。また、コンプライアンス推進体制の強化や研修による従業員の意識向上を徹底するなど、再発防止にも取り組んでいます。違反件数は、ESGデータ集をご参照ください。

研究開発における倫理的配慮

当社は、研究・開発のさまざまな段階において、常に倫理的な配慮をして取り組んでいます。
ヒト由来試料(血液、組織、細胞、遺伝子など)を用いた研究では、国の基本指針に基づいて社内の倫理規程を定め、諮問委員会として社内外の委員で構成される「人を対象とする医学系研究」倫理委員会を設置し、倫理的および科学的妥当性を厳正に審議したうえで実施しています。特に、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)の研究利用は、ヒトES細胞が人の生命の萌芽であるヒトの胚を壊して作製されたものであること、あらゆる細胞に分化する能力をもつことから、生命倫理上の懸念点を有することを認識しています。ヒトES細胞の研究利用にあたっては、関係法令および指針を踏まえ、社内の倫理委員会において慎重に検討すべきと考えております。
実験動物を用いた研究では、動物の生命を尊重し、動物福祉に配慮して適正に実施されるよう、動物実験委員会を設置し、実験計画が「3Rsの原則」〈 Replacement(代替法の利用)、Reduction(動物利用数の削減)、Refinement(苦痛の軽減)〉に基づいて策定されているか、事前に審査しています。また、動物実験の実施状況などについて自己点検・評価を行い、これらの取り組みについて第三者(一般財団法人日本医薬情報センター)による認証を取得しています。
医薬品の開発において安全性や有効性を見極めるために欠かせない臨床試験は、被験者の人権を尊重し、安全性の確保に細心の注意を払い、高い倫理性を持って厳正に実施されます。当社は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」などの関係法規やヘルシンキ宣言の精神を基に定められた世界基準に従い、必要かつ十分な手順を踏むことで、一歩ずつ確実に医薬品の真価を見極めています。また、医薬品においては、安全監視機能が適切に働かなかった結果、過去には多くの薬害が発生しています。患者さんの苦痛や薬害の悲惨さ、企業の責任の大きさを忘れることがないよう、薬害に関する教育を全社員に対して定期的に実施しています。

公正かつ透明な事業活動

新薬の継続的な創製と安定的な供給を通して世界の医療と人々の健康に貢献するためには、患者団体への支援など患者さんの病気や苦痛の克服に対する協働活動、研究機関・医療機関などとの連携が不可欠です。これら協働・連携を公正かつ透明な事業として充実させるには、その関係の透明性を確保することが重要です。日本製薬工業協会のガイドラインを勘案して策定した当社ガイドラインに従い、当社から医療機関および患者団体への支援費用に関する情報を公開しています。

税務コンプライアンスについては「税務グローバルポリシー」を制定し、経理担当役員の責任のもと、厳正な管理に努めています。詳細については、以下の「税務グローバルポリシー」、「国別報告書」、「事業の内容・関係会社の状況」および「連結財務諸表注記(法人所得税)」をご参照ください。

また、「贈収賄防止グローバルポリシー」および「贈収賄防止ポリシー」を制定し、より厳正な運用に努めています。さらに、当社は贈収賄の国際規範であるトランスペアレンシー・インターナショナルの「贈収賄防止のためのビジネス原則」を支持しています。
研究費として公的資金を受ける研究については、国が定めたガイドラインを遵守すべく「公的研究費を受ける研究に関する規程」を制定し、より適正な運用・管理に努めています。

当社の贈収賄防止体制の詳細については、以下の「贈収賄防止グローバルポリシー」をご参照ください。

2020年度の重大なコンプライアンス違反を受けた直後の対応

2020年度に起こした不祥事(以下、不祥事)以降、再発防止に向け取り組んできたコンプライアンス強化策の進捗状況は以下の通りです。

〔1〕コンプライアンス体制強化

2021年9月以降、社外取締役による監督体制の強化を具体化すべく、以下に示す社内コンプライアンス体制強化のための取り組みについては、定期的に取締役会の議題に取り上げ、その進捗状況を報告しています。

  • 社内体制強化の一環として、2021年10月、社内コンプライアンスの主管組織であるコンプライアンス推進部(以下、現在の名称であるリスク・コンプライアンス管理部とする)内にアセスメント室を新設しました。コンプライアンス違反の未然防止のための社内啓発および社員からのコンプライアンスに関する疑問や相談事項に関する新たな相談窓口としての機能を担っています。
  • 2021年10月に取締役並びに執行役員の8名を各本部のコンプライアンス・オフィサー(以下、現在の呼称であるコンプライアンス推進責任者とする)に任命しました。加えて、コンプライアンス違反を未然に防止すべく報告・相談の一次窓口として、85名のコンプライアンス・マネジャーを職場毎に任命しました。また、構成人員の多い営業本部には、コンプライアンス・マネジャーの運営をサポートする158名のコンプライアンス・アシスタントを営業所/室毎に置き、よりきめ細かい報告・相談に対応できるようにしています。
  • 縦のレポートラインをコンプライアンス推進責任者が、そしてコンプライアンス・マネジャーの活動支援を旨とする横串運営は、リスク・コンプライアンス管理部アセスメント室が実施しています。
    これらの体制により、職場毎にコンプライアンス・マネジャーを起点としてコンプライアンスに根差した業務の在り方を常に問い、コンプライアンス違反における未然防止の為に勇気をもって声を挙げ易くすることを狙った運営を行っています。
  • コンプライアンス・マネジャーは、通常ルート(上長経由)であがらない・あげられない現場の声を吸い上げる事業所内の一次窓口です。
  • 新体制での運営開始(2021年10月)以降、コンプライアンス・マネジャーを中心に計417回の職場懇談会を開催、職場単位でコンプライアンス違反の未然防止に資する取り組みの重要性を社員に啓発するとともに、勇気を持って声を上げた社員が決して不利益を被ることが無い運営を徹底し、これを浸透させつつ、社員の声に耳を傾けて参りました。
    結果、2024年3月迄の約2年半の期間で、コンプライアンス・マネジャーを通じ上がった相談事項(簡易な質問含む)は1009件あり、このうち通常のレポートラインでは上げられない相談(上長との間でハラスメントを疑うもの、労働環境に関するもの)が98件確認されました。リスク・コンプライアンス管理部アセスメント室も介入し、コンプライアンス推進責任者、コンプライアンス・マネジャーらと対応策を検討し対処したことでコンプライアンス違反に繋がる可能性のあった言動・行動を“芽”の段階で摘むことが出来ており、未然防止に資する取り組みが定着、機能し始めていると捉えています。
  • 2021年10月、営業部門のコンプライアンス研修・運営の全般を監督する役割を担うコンプライアンス特命担当(上席パートナー)を任命し、営業本部内で開催されるコンプライアンス関連会議に定期的に参加し、指導やアドバイスを行っております。コンプライアンス特命担当(上席パートナー)は、営業本部長への助言はもとより、必要に応じリスク・コンプライアンス管理部と連携し、営業部門への未然防止意識の啓発・浸透に取り組んでいます。
  • コンプライアンス遵守を社内目標として、2020年度に起こした不祥事を絶対に風化させることのないよう、事件の全貌を包み隠さず社員に知らしめることを目的とした研修を継続的に行っています。業界団体からの処分はもとより、一部医療機関からの訪問禁止措置、更には協業企業からのアセスメントや時には監査要請を受けるなど、社会的信用を損なう行動がもたらす影響を全社員に理解させることで、社員一人ひとりがコンプライアンス遵守を自分ごととして捉えるべく取り組んでいます。

〔2〕社員教育

2022年1月~3月に2020年度の不祥事を題材とした全社コンプライアンス研修
テーマ :
事件の全容と判決、業界ルール違反、コンプライアンスと企業の社会的責任について
不祥事を教訓とし、二度と同じ過ちを起こさないことを全社員で誓うべく、事件を題材としたコンプライアンス研修を以下の内容で実施
研修概要:
経営者メッセージVTR > 講師による講義 > ディスカッション > アンケート
実施状況:
全社員受講済み(3260名:補講12名含む、育児・傷病休暇者、派遣社員を除く)
研修の目的について、社長からのメッセージ
【研修講師】上席パートナー、リスク・コンプライアンス管理部
  1. 事件の概要
  2. 事件が会社に与えた影響
  3. 我々、企業に求められていること
  4. 法令遵守への課題
【事業所長の司会によるディスカッション】
  1. 今後の取り組み(感想/意見など)
研修の終わりに、コンプライアンス担当役員からのメッセージ
2022年2月~3月 贈収賄防止に向けた取り組みのe-ラーニング研修
テーマ :
贈収賄防止
研修概要:
音声スライドによる研修受講+確認テスト、贈収賄防止規程遵守の誓約
実施状況:
役員および外部出向者(国内外)、派遣社員含む全従業員で実施(3627名:育児関連・傷病による長期休暇者を除く)
2022年4月~5月 全社コンプライアンス知識についてのe-ラーニング研修
テーマ :
社会人として身につけておくべきコンプライアンス知識の習得
研修概要:
クイズ形式(100問)のe-ラーニング
実施状況:
全社員受講済み(3298人:育児・傷病休暇者、派遣社員を除く)
2022年6月 2020年度の不祥事を題材とした全社研修(2021年度実施)補講
テーマ :
事件の全容と判決、業界ルール違反、コンプライアンスと企業の社会的責任について
研修概要:
リスク・コンプライアンス管理部員を講師とした講義研修
実施状況:
育児休暇、傷病休暇からの復帰者(10名)
2022年6月~7月 2022年度上期全社コンプライアンス研修
テーマ :
改正公益通報者保護法並びに社内の内部通報規程(2022年4月制定)、職場のハラスメントに関する理解促進
研修概要:
リスク・コンプライアンス管理部員を講師とした講義研修
実施状況:
全社員受講済み(3195人:育児・傷病休暇者、国内外在籍出向者、派遣社員を除く)
2022年10月~12月 《コンプライアンス強化月間》全社コンプライアンス研修
テーマ :
社会人として身につけておくべきコンプライアンス知識の習得、2020年度の不祥事を風化させずに引き続き教訓とする
研修概要:
  1. リスク・コンプライアンス管理部員による研修~2020年度の不祥事を風化させない~
  2. 部署毎のディスカッション研修(選択テーマ:エスカレーション、パワーハラスメント、企業の社会的責任から2つ)
  3. クイズ形式(100問)のe-ラーニング
実施状況:
全社員で実施済み(約3215人:育児関連・傷病長期休暇者、派遣社員を除く)

〔3〕奨学寄附金等の取り扱いについて

奨学寄附金の取り扱い
  • 奨学寄附金(一般講座への寄附)の拠出に関しては、まず2021年度の寄附は中止とし、更に、2022年度以降も引き続き行わないことを社内決定し2022年1月の当該年度第3四半期の決算発表時に公表しました。
    なお、アカデミアへの貢献の必要性や研究振興の社会的意義を鑑みながら、独立性、公平性を担保し得る新たな貢献方法を引き続き検討した結果、財団(小野薬品がん・免疫・神経研究財団)を設立し、2023年度より研究助成事業を行うことを決定しました。
  • 寄附講座への寄附については、2020年10月以降新たな寄附依頼に対して全てお断りし、それ以前に拠出を約束していた先、および複数年契約のもとに拠出を約束していた先のみへの対応としました。なお、これら寄附に関しても、2023年度中に全ての対応を終了しました。
    (2021年度の実施:21件、2022年度の実施:8件、2023年度の実施:2件)
  • 2021年度の奨学寄附支出結果については、透明性ガイドラインに則り2022年9月30日に当社Webサイト上で開示しています。
その他の寄附(一般寄附/学会寄附/賛助会員会費など)の取り扱い
  • 2021年10月より、全社の寄附や賛助会費の依頼案件を本社総務部門に集約した上で、総務部門・法務部門・コンプライアンス部門と外部有識者(弁護士)で構成される寄附審査委員会において審査する運用に変更いたしました。寄附対象となる団体の活動状況と対応金額の妥当性を審査し、その結果は総務部より直接申請施設に伝えることとしています。
    さらに、2022年4月からはこれら寄附金の受付についてもWebでの公募制とすることで、社員(医薬情報担当者に加え、開発部門やメディカルアフェアーズ部門担当者など)が寄附の依頼を受ける、あるいは審査結果を伝達する等の寄附金に関した医療関係者との直接の関わりを排除しています。

〔4〕内部通報体制の整備

改正公益通報者保護法の施行を見据え、社内の通報制度を見直し、2022年4月に内部通報規程として独立させて制定し、社員に周知致しました。ポイントは以下の通りです。

① 顕名(実名)での通報を原則とする(正当な理由があると判断した場合には、匿名通報も可能)
② 調査はリスク・コンプライアンス管理部が中心となって行う
③ 調査において虚偽を述べた者や第三者に漏洩した者には就業規則等に従って懲戒処分等を課す場合がある
④ 守秘義務に関わる内容について具体的な内容まで規定
⑤ 通報者の探索を禁止する内容を具体的に記載

上記ポイントの周知後、通報相談の件数に加え、顕名通報の割合も徐々に増加しております。

奨学寄附金の取り扱い、コンプライアンス体制強化のための取り組み、社員教育、内部通報体制の整備に関しする対応状況は以上の通りです。これらの取り組みを推進することにより、再発防止は勿論、違反の未然防止に努め、患者さんや医療関係者の皆様、ならびに関係者の皆様からの信頼回復に向け、引き続き継続して取り組んでまいります。