リード文
当社は、主要なリスクの発生の可能性を認識したうえで、発生の予防に努め、また、発生した場合には的確に対処する体制を整備しています。
また、代表取締役社長を最高責任者、取締役専務執行役員である経営戦略本部長を担当役員として、全社的リスク管理体制の構築を進めるなど、リスク管理上の課題を経営戦略上の重要課題と捉え取り組んでいます。さらに、監査役会と内部監査部門(業務監査部)によって、リスクマネジメントにおける監査の実効性向上に努めています。
小野薬品工業株式会社 経営企画部 兼 CSR推進室, 小野薬品工業株式会社 CSR推進室, system
リスクマネジメント
全社的リスクマネジメント(ERM:Enterprise Risk Management)体制構築
当社は、部分最適ではなく全体最適のリスクマネジメント活動めざし、2019年度よりERMを導入しています。
導入にあたり、リスクマネジメント最高責任者(代表取締役社長)とリスクマネジメント統括責任者(取締役)を選任しました。また、法務部をリスクマネジメントの主幹部署に定め、「リスクマネジメント規程」を制定しERMを推進しています。
ERMの基本方針
- 企業の安定的な事業継続と目標達成のため、社会に対して必要な説明責任を果たしながら、当社および顧客をはじめとする各ステークホルダーの損失を最小化することを目的に全社的リスクマネジメント体制を整備し、推進する。
- 各本部においては、「リスクアセスメントシート」などにより、自本部におけるリスクのアセスメントを行い、自律的にリスクマネジメントを推進する。
- 経営に著しく影響を与える重要・緊急と判断される主要なリスクを特定し、全社を挙げてリスクマネジメントを推進する。
- リスクが発現した場合、被害の最小化と速やかな回復を図る措置を講じ、問題の早期解決にあたる。
ERMの推進体制
- 基本的な考え方
- 各本部長が各本部における「リスクマネジメント推進会議」を通じて、本部全体のリスクマネジメントを統括する。
- 事業所長が日常のリスクマネジメントを行う。
- 法務部がERMの観点から定期的に、各本部のリスクマネジメント状況をモニタリングする。なお、モニタリング結果は、経営会議(取締役、執行役員、部門責任者などで構成)や、取締役会および監査役会へ報告する。
- リスクマネジメント推進会議
各本部における「リスクマネジメント推進会議」では、「リスクアセスメントシート」を用いて各本部のリスクアセスメントを行い、課題を抽出し、重要度・緊急度に応じたリスク発現の防止策や、リスク発現時の対応といった対策を検討・立案・実施し、自律的なリスクマネジメントを推進します。リスクアセスメントシートは、事業リスクだけでなく、環境、大規模災害、人権、薬事関連法令や贈収賄関連リスクなど幅広いリスクを含んでいます。なお、2021年度には、未特定のリスクがないか点検するため、各本部のリスクマネージャーを中心にボトムアップでリスク抽出(ボトムアップヒアリング)を行いました。
- 環境課題に関わるリスクマネジメント体制
環境課題に関わる事業リスクについてもERMの中で管理しています。特に気候変動に関わるリスクについては、環境委員会の下に設置しているTCFDワーキンググループにてリスクと機会の特定と評価を進めています。また、本ワーキンググループには法務部の責任者も参加するとともに、全社リスクマネジメント委員会へ進捗を報告することで、ERMと連携してます。なお、TCFDに関する詳細は「TCFD提言に基づく情報開示」をご覧ください。
- 主要なリスクへの対応
経営会議において、重要・緊急と判断される主要なリスクを年度毎に特定し、全社を挙げて対策を検討・立案・実施しモニタリングしています。
なお、リスクが発現した場合は対応計画に従い、被害の最小化と速やかな回復を図る措置を講じ、問題の早期解決にあたります。
- 危機管理(Crisis Management)
重大なリスクが発現した場合、必要に応じて代表取締役社長が緊急対策委員会を立ち上げ、被害の最小化と速やかな回復を図る措置を講じ、対応にあたります。
- リスクマネジメント教育
リスクに対する意識浸透や感度向上のために、全社員を対象にリスクマネジメントに関する教育を実施しています。
- 全社員を対象とした研修:2019年度は、リスク、リスクアセスメント、ERMに関する基本知識と当社のERM体制などについてのe-ラーニング教育を実施しました。2020年度より、リスクマネジメントの基礎知識に加えて、実践的なリスクマネジメントスキル(リスクイシューの真因分析と管理手法等)についてのe-ラーニング教育を開始し、2021年度に完了しました。
- リスクマネージャーおよびマネジメント層への研修として2019年度下期からリスクマネジメント手法に関するワークショップ形式の研修を開始しました。2020年度には社内役員、各本部のリスクマネージャー、一部の本部のリーダー層に対しての研修が終了しております。
- 2020年度には、重大インシデントへの対応能力を高めるため、複数の個別リスク(個人情報漏洩、工場研究所事故等)を想定し、詳細なインシデント対応マニュアルを作成するとともに、従業員への研修、実務対応訓練(報告体制・広報体制)を行いました。
今後も継続的にリスクマネジメントに関する教育を推進していきます。
当社のリスクマネジメント体制
当社グループのリスクマネジメント
当社は、グループ全体のリスクマネジメントについて、各子会社の⾃主性を尊重しつつ、事業内容の定期的な報告と重要案件についての協議などを通じて、助⾔・指導を⾏っています。
当社グループ全体のリスクマネジメントをさらに充実させるため、2020年度より、当社のERM体制を国内外の子会社に拡大し、2021年度には「リスクアセスメントシート」を用いたリスクアセスメントを行いました。
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当社グループにおける業務の適正を確保するための体制
当社グループ全体の法令遵守体制は、当社が各子会社へ的確な助言・指導を行い推進しています。なお、グループ各社の経営については、その自主性を尊重しつつ、事業内容の定期的な報告と重要案件についての事前協議を行います。
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BCP(事業継続計画)
当社は、自然災害や重大事故などの発生時にも、業務への影響を最小限にとどめて事業活動を継続し、中断した場合でも速やかに復旧・再開できるよう、代表取締役社長を委員長とする緊急対策委員会のもと、BCP対策本部を組織しています。また、平時のマネジメントとして、危機対応力と事業継続力の維持・向上を目的に、経営戦略本部長(取締役専務執行役員)を委員長として事業継続管理(BCM)を担うBCM委員会とその運営事務局を設置し、活動を推進しています。
本社、東京ビル、各工場および各研究所には、非常用電源設備や2回線受電など、災害に備えた設備を採用し、本社、東京ビル、水無瀬研究所、山口工場には、地震対策のための免震装置を導入しています。また、大規模災害に備え、拠点を大阪本社と東京ビルに分散したことによる機能の2拠点化により、事業継続力が向上しました。
BCM委員会では、大規模災害の発生を想定した訓練を実施し、課題の抽出、計画の見直しを行い、BCP対応力の向上を図っています。
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事業等のリスク
当社グループの業績は、今後起こり得る様々な事業展開上のリスクにより大きな影響を受ける可能性があります。
以下には、当社グループの事業展開上のリスクとなる可能性があると考えられる主な事項を記載しておりますが、全てのリスクを網羅したものではなく、記載したリスク以外のリスクも存在し、それらは投資家の判断に影響を与える可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、2021年度末現在において当社グループが判断したものであります。
洗い出したリスクは、「戦略リスク」「外部要因リスク」「オペレーショナルリスク」に3分類し、リスクへの基本的な対応方針や優先順位を決定しています。リスク分類毎の基本的な対応方針は以下の通りです。
- 戦略リスク:事業計画の失敗等、ビジネスそのものに伴うリスクで、中期計画等で対応すべきもの。
- 外部要因リスク:管理不能な外部要因により発生するリスクで、BCP等で対応すべきもの。
- オペレーショナルリスク:想像力を働かせれば避けられた、管理の失敗により発生するリスクで、ERMで対応すべきもの。
この3分類に基づく、当社の「主要なリスク」は以下のとおりです。
<主要なリスク>
- 新製品の開発について
当社グループは、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、いまだ満たされない医療ニーズに応えるため、真に患者さんのためになる独創的で革新的な新薬開発に取り組むことを通して、特定分野に特化した「グローバル スペシャリティ ファーマ」の実現を目指しています。そのために、自ら革新的な医薬品の創製に挑むとともに、世界最先端の技術や知見を取り入れるオープンイノベーションを積極的に進めております。しかしながら、長期でかつ多額の研究開発投資が独創的な新薬の上市に至らず途中で開発を断念しなければならない事態も予想されます。このような事態に陥った場合には、将来に期待していた収益が得られず、当社グループの経営成績および財政状態は大きな影響を受ける可能性があります。
- 市場環境変化への対応について
当社グループは、積極的な研究開発活動、全社を横断する迅速な部門間連携の強化により、製品価値最大化を図っております。そのため常に開発早期から市場環境を見据え、競争優位性を担保しうるよう戦略を見直し、変化に対応しております。また、製品ライフサイクルに影響が及ぶ側面においても絶えず市場動向を捉え、製品のポテンシャルを最大限引き出せるようリソースを準備しております。しかしながら、競合品や後発品の販売状況により、当社グループの経営成績および財政状態は大きな影響を受ける可能性があります。
- コンプライアンスについて
当社グループは、事業活動を行う上で、製品の品質、安全、環境関連、化学物質関連の他、取引関連、労務関連、会計基準や税法等の様々な法規制の適用を受けております。また、今後は気候変動の緩和のための各国の政策や法規制強化への対応が必要となります。当社グループは、行動規範のもとに、コンプライアンスプログラムポリシー等を制定しているほか、コンプライアンス委員会やコンプライアンス違反通報・就労相談窓口を社内外に設置する等、コンプライアンス体制を構築し、事業活動に関連する法規制が遵守されるよう徹底等しておりますが、当社グループおよび委託先等が重大な法令違反を起こした場合は、当社グループへの信用、経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。また、法規制の変更などにより事業活動が制限され、その対応のために投資が必要になる場合には、当社グループの経営成績および財政状態は大きな影響を受ける可能性があります。
- 製品の品質管理について
当社グループは、医薬品の品質に係る法的要件のみならず、患者さん・介護者・医療従事者の視点に立った高い品質の医薬品を安定的に提供するため、「品質が高度に保証された医薬品を安定的に供給することにより社会に貢献する」という方針のもと、独自の品質マニュアルに基づいた品質システムを確立するとともに、システムの継続的な改善に取り組んでいます。一方、当社製品の品質、有効性、安全性に懸念がある場合は、速やかに評価し、回収が決定された場合はその情報を速やかに医療従事者に提供して当該製品を回収する体制を整えています。
しかしながら、予想を超える重大な品質トラブルまたは新たな科学的知見により製品の安全と安心に対する懸念等が発生した場合には、当該製品ブランドだけではなく、当社グループ全体の信用の低下にもつながり、当社グループの経営成績および財政状態は大きな影響を受ける可能性があります。
- 人財の確保および育成について
当社グループは、持続的成長のために多様で優秀な人財の確保、育成に努めております。多様な人財の一人一人が生き生きと働き、その能力を最大限に発揮するために、多様な働き方ができる支援制度や職場環境の整備を進め、働きがいのある魅力ある企業となる取り組みを通じて人財の確保を図っており、個々の成長や能力に沿った研修制度を充実させています。
また、環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し、企業価値を向上させるためには、組織を構成するメンバーの属性や価値観、行動特性の多様性を高め、その個性を認めることが重要であると考え、「女性活躍推進」、「障がい者活躍推進」、「キャリア採用推進」に取り組んでいます。
しかしながら、中長期的に多様で優秀な人財が確保、育成できない場合は、事業活動の停滞等により、当社グループの経営成績および財政状態は、大きな影響を受ける可能性があります。
- 大規模地震や気候変動等に伴う自然災害および事故について
当社グループは、地震や気候変動に伴う洪水(水リスク)等の自然災害に対して、生産工場および主要な事業拠点を対象とした災害対策、事業継続計画(BCP)を策定するとともに、TCFD提言に基づき、気候変動リスクの特定とその対応策について情報開示を行っています。当社グループは、生産拠点をフジヤマ工場(静岡県)、山口工場(山口県)の2か所、物流拠点を国内の複数個所に確保することで、当社製品の安定的な供給のためのリスク軽減を図っています。また、重要拠点である本社、東京ビル、各工場および各研究所には、災害対策として、非常用電源設備や2回線受電等の停電対策の設備を採用しています。加えて本社、東京ビル、水無瀬研究所、山口工場には、免震装置を導入し、地震に対するリスク軽減を図っております。また、大規模災害に備え、大阪と東京の2拠点で対応できる体制の構築、いち早く従業員の安否を確認できる「安否確認システム」の導入を図る等、社内体制の整備を進めるとともに、定期的な災害訓練等の実施により、継続的な有事対応力の強化や意識向上に努めております。
しかしながら、大規模地震や気候変動に伴う自然災害等により、原材料の確保、生産の継続、流通過程等に問題が生じて製商品の供給や研究開発活動等に支障をきたした場合には、事業活動の停滞等により、経営成績および財政状態は大きな影響を受ける可能性があります。
また、新型コロナウイルス等の感染症の蔓延、生産工場の爆発・火災事故、情報・制御システムの障害、原材料購入先のトラブル、電力や水等の社会インフラの機能不全、有害物質による環境汚染、テロ、政変、暴動等が発生し、製商品の供給や研究開発活動等に支障をきたした場合には、事業活動の停滞等により、当社グループの経営成績および財政状態は大きな影響を受ける可能性があります。
- サプライチェーン(安定供給)について
当社グループは「製商品の安定供給」をマテリアリティとして特定し、自然災害および事故のリスクや薬機法からの逸脱リスクに対応する体制を構築しています。
自然災害および事故への対応策の詳細については、「(6)大規模地震や気候変動等に伴う自然災害および事故について」に記載しております。
薬機法からの逸脱リスクへの対応については、自社に厳格な品質基準を定め、製造に関する記録書類や照査、変更管理、逸脱管理を徹底して行っております。また、自社工場や委託先への品質監査を行い、それらが適切に運用されているかを定期的に確認しています。このように規格に適合しない製品が出荷されないよう一貫した高水準の品質管理を徹底しています。
しかしながら、地震や台風などの自然災害、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大等のパンデミック、火災、システム障害やテロなどの事件、薬機法からの逸脱などにより、特定の工場や外部委託先の機能、取引先からの原材料の供給が停止し、生産活動の停滞・遅延が起こった場合には、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
- 医療保険制度改革について
当社グループの医薬品製造販売事業は、各国の薬事行政によりさまざまな規制を受けております。日本国内における公定薬価の引下げ、後発医薬品の使用促進などの医療制度改革の影響や海外における様々な医療費抑制策の影響などにより、販売価格が下落し販売数量の伸長等でカバーできず、売上収益が減少した場合には、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
- 特定の製品への依存について
当社グループの売上収益のうち、「オプジーボ点滴静注」および「抗PD-1/PD-L1抗体関連のロイヤルティ」の売上収益は、売上収益合計の約6割(2022年3月期)を占めております。薬価改定、他の有力な競合品の出現、特許などの保護期間の満了、その他予期せぬ事情により、売上収益が減少した場合には、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
- 新たな副作用について
当社グループは、医薬品ごとにリスク管理計画を策定し、継続的に安全性(副作用)情報の収集と評価を行っています。収集した情報は重篤性や注意喚起の必要性を評価したうえで、必要に応じて添付文書の改訂や医薬品の適正使用に関するお知らせの提供などの安全性対策を実施しております。しかしながら、医薬品には、治験段階では経験したことがない新たな副作用が、市販後において報告される可能性があります。新たな重篤な副作用が発生した場合には、損害賠償金の支払いや承認取消等による売上収益の減少等により、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
- 知的財産について
当社グループは、製造または販売する製品が第三者の知的財産権に抵触することのないように十分に注意を払っておりますが、万が一、抵触があった場合には、損害賠償金の支払いや製造販売の差し止め等による売上収益の減少により、当社グループの経営成績および財政状態に影響がでる可能性があります。また、当社グループでは、発明者等を適切に決定、管理し、社内規定や契約等で定めた適切な対価を支払っておりますが、発明者等から訴訟を受けた場合には、損害賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響がでる可能性があります。
なお、2015年9月、当社が保有する抗PD-1抗体および抗PD-L1抗体の用途特許について、米国のダナファーバーがん研究所が発明者の追加を求めて、当社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社および本庶佑氏を米国マサチューセッツ州連邦地裁に提訴しました。2019年5月、第一審の判決が出され、Clive R. Wood博士とダナファーバーがん研究所のGordon J. Freeman博士を発明者に追加することが認められました。2020年7月、第一審を支持する控訴審判決が出され、2021年5月、当社側の最高裁判所への上告も却下され判決が確定しました。
また、2019年6月21日、Gordon J. Freeman博士から本発明に関する権利および利益を譲り受けたダナファーバーがん研究所は、当社およびブリストル・マイヤーズ スクイブ社が上記特許の独占的所有者として競合他社に対して特許侵害訴訟を提起し、和解またはライセンス契約を締結したことで得たライセンス収入の一部の利益を受ける権利を有していると主張し、米国マサチューセッツ州連邦地裁に提訴しています。
これらの判決および訴訟が、当社グループの経営成績等へ与える影響については、現時点では見積もることはできません。
なお、2020年6月に本庶佑氏よりPD-1特許に関する対第三者訴訟関連分配金請求訴訟を大阪地方裁判所に提起されましたが、裁判所からの和解の勧めを受けて、2021年11月12日付で、和解が成立しました。
- 訴訟について
当社グループの事業活動に関連して、医薬品副作用、製造物責任(PL)、労務問題、公正取引に関する問題および環境に関する問題に関して訴訟を提起される可能性があります。訴訟が発生した場合、その結果によっては、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
- 情報管理について
当社グループは、業務の効率化・高度化はもとより、ビジネス環境に合わせてより柔軟に企業の変革を進めていけるようデジタル・ITの活用を進めております。また、これらのシステムにおいて個人情報や機密性の高い情報を取り扱っております。ビジネスのグローバル化の推進やデータ活用範囲の拡大とともに複雑性が増しており、技術的に発生する可能性がある障害、第三者または社内からの不正アクセスや攻撃によるビジネスオペレーションの停止、重要情報流出の可能性があります。
これらのリスクを低減するため、セキュリティや安定運用に関わるポリシーの制定、技術・社会環境の変化に合わせた適切な技術・サービスの選択に加え、全社員を対象としたトレーニング、第三者によるセキュリティ評価に基づく継続的な対策強化を行っております。しかしながら、ネットワークウイルスの感染、サイバー攻撃等によるシステム障害や事故等の原因によりその情報が改ざん、悪用、漏えい等した場合には、社会的信用を大きく失うことなどにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響がでる可能性があります
- 海外展開について
当社グループは、自社で創製した新薬を世界中に提供できる「グローバル スペシャリティ ファーマ」を目ざした海外展開に取り組んでおります。すでに、韓国、台湾では、現地法人を設立して自社製品を販売しており、今後は欧米での自社販売も視野に入れて、開発体制などの整備・強化にも努めていきます。
グローバルな事業活動を行うにあたり、各国の法的規制、経済情勢、政情不安、地域固有の自然災害や事業環境の不確実性等の情報を入手し、必要な対応を検討しておりますが、リスクを完全に回避することができない場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響がでる可能性があります。
- 他社との提携について
当社グループは、共同研究、共同開発、開発品の導出入、共同販売等様々な形で他社と提携を行っております。何らかの理由により提携の合意内容が変更・解消になった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響がでる可能性があります。
- 金融市況の変動について
・為替変動
当社グループは、国際的に事業展開を行っており、外貨建てでの受取ロイヤルティや経費支払い等があるため、為替相場の変動により、売上収益の減少や仕入原価、研究開発費の増加、為替差損の発生等のリスクに晒されています。当社グループは上記リスクを緩和すべく、市場リスク管理方針に基づき外貨建て取引の一定の割合について先物為替予約による為替リスクヘッジをしております。
しかしながら、外貨の為替変動が想定以上となった場合、経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
・価格変動
当社グループは、資本性金融商品から生じる株式価格の変動リスクに晒されています。当社グループは、短期トレーディング目的で保有する資本性金融商品はなく、ビジネス戦略を円滑に遂行するために資本性金融商品を保有しておりますが、定期的に公正価値や発行体の財務状況等を把握するとともに、当該企業との関係を勘案し、必要に応じて保有状況を見直しております。しかしながら、資本性金融商品の公正価値が予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
- 環境問題への対応について
当社グループは、環境関連問題への対応として、環境グローバルポリシーに基づいた環境ビジョン(ECO VISION 2050)を定め、脱炭素社会の実現、水循環社会の実現、資源循環社会の実現に向けて全社的に取り組むとともに、環境に対する企業の社会的責任を認識し、事業活動の全分野において、環境に配慮して活動し、豊かな地球環境実現に向けて事業活動の全分野において環境に配慮した活動を推進しています。
また、医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれているため、当社グループでは事業活動を行う国や地域における有害物質の使用、製造、保管、廃棄等の取り扱いに関して、一部では法よりも厳しい自主基準を設ける等、環境法規制を遵守しています。
しかしながら、今後、温暖化対策としての新たな炭素税の導入や温室効果ガス排出規制などが強化された場合には、コストが増加する可能性があります。また、万が一、有害物質による予期せぬ汚染やそれに伴う危害が顕在化した場合には、保険の適用からの除外または補償金額を超える費用負担、法的責任を負う可能性があります。また、環境法規制の変更により、当社の研究、開発、製造その他の事業活動が制限される可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
- 新型コロナウイルス感染拡大について
当社グループは、生命関連企業として医薬品の安定供給を図るため、関係会社や取引先とも連携し、安定供給を維持しており、当面の当社医薬品の生産および医療機関への供給体制に問題はありません。
しかしながら、今後、更なる感染拡大やパンデミックにあたる状況が長期化し、製商品の供給や研究開発活動等に支障をきたした場合には、事業活動の停滞等により、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
- 繰延税金資産や減損処理について
当社グループは、予実管理等を通じて業績のモニタリングを行っており、業績悪化の兆候があれば、適時に繰延税金資産の回収可能性の見直しや減損損失の測定等を行う体制を構築しています。今後、「事業等のリスク」に記載している様々なリスクが顕在化すること等により、業績計画との乖離が生じ、将来期待していたキャッシュ・フローが獲得できなくなった場合には、有形固定資産、無形資産の減損が発生し、また繰延税金資産が減少する可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
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情報セキュリティ管理
基本的な考え方
情報資産は非常に重要な経営資源です。
当社では、研究開発に係る情報、業務上で知り得た社外情報、顧客及び取引関係者の個人情報等を含む当該情報資産を厳重に保護し漏洩を防ぐとともに、グループ内の情報を適切に共有しその活用を図るために、情報セキュリティグローバルポリシーを定め、適切に管理しております。
情報セキュリティ管理体制
当グループは、情報セキュリティグローバルポリシーとそれに基づく諸規程を定め、これらの実効性を確保するために、情報セキュリティに関する事故発生時の対応を含めた情報セキュリティ管理体制を確立しています。
情報セキュリティ総括責任者(常務執行役員/デジタル・IT戦略推進本部長)は、情報セキュリティ管理に関する当社グループ戦略を策定するとともに、当社の取り巻く環境の変化および関係法令等の動向を踏まえ、関連規程等を作成・改定・運用管理し、その責任を負います。また、情報セキュリティ総括責任者のもと、情報システム部門長及び情報セキュリティ部門責任者を任命し、各本部及びグループ会社*における情報セキュリティ管理を行っています。
*当社が100%の議決権を所有する会社
情報セキュリティ管理の組織体制
個人情報保護に対する取り組みについてはこちらを参照ください。
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